私は,ものごころついて以来,石原慎太郎氏が保守だ右翼だというのはわかりきったことなので,いちいち気にしたことはない。しかし,この人が,一切自分を省みないところは,受け入れられなかった。石原慎太郎氏こそ「ブーメラン」の人だと思う。
「ああいう人ってのは人格あるのかね」→自分の人格は問題ないのか。
「IQが低い」→自分は高いのか。
「“文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものは「ババア」”なんだそうだ」→自分は有害じゃないのか。
「美濃部さんのように前頭葉の退化した六十、七十の老人に政治を任せる時代は終わったんじゃないですか」→自分は78歳で都知事に当選しても何も問題はないのか。
「日本人のアイデンティティーは我欲。物欲、金銭欲。この津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要がある。やっぱり天罰だと思う」→自分の我欲を天罰で洗い落とす必要は感じないのか。
……という風に,まったく納得できなかった。一切自分を疑わない人は,どういう思想の持ち主であれ,「どこかやっぱり足りない感じがする」と思う。それは「遺伝とかのせい」ではなく自らのありかたの問題だ。
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