拙稿「発展途上国鉄鋼業における技術・生産システム間競争:ベトナムにおける共英製鋼の事業展開から考える」が『産業学会研究年報』第40号に掲載されました。昨年発表した「ベトナム鉄鋼業の発展初期における日系中堅電炉企業の役割 -ビナ・キョウエイ・スチール社成立過程の研究-」とあわせて,共英製鋼のベトナム進出2部作が完結しました。いずれもダウンロードいただけます。
もともと,2020年度から始まった科研費でベトナム鉄鋼業における外資の役割を取り上げる予定でしたが,コロナ禍突入によってベトナム渡航ができなくなり座礁しかかりました。そこで共英製鋼に事例を絞って日本での聞き取り,資料収集から始め,2023年2月には念願の現地調査も実現して,どうにか完成へと向かいました。
現地での生産拠点第1号のビナ・キョウエイ・スチールには2000年8月から訪問を続けてきましたので,もう25年になります。ずいぶん時間がかかってしまいましたが,第1論文では,巨大高炉メーカーでなく,中堅電炉メーカーの共英製鋼がベトナム事業を定着させられたことの意義を,また第2論文では,地道に現地定着を目指した同社が,異なる技術を用いたローカル企業に思わぬ挑戦を受けたことの意義を解明できたと思います。
必ずしも成功の側面ばかりを描いたわけではないにもかかわらず,快く調査に応じてくださった共英製鋼株式会社には深く感謝しています。
第2論文
川端望「発展途上国鉄鋼業における技術・生産システム間競争:ベトナムにおける共英製鋼の事業展開から考える」『産業学会研究年報』第40号,産業学会,2025年3月,37-55頁。
https://researchmap.jp/read0020587/published_papers/50024237
※学会の許諾をとってPDFを公開しています。
第1論文
川端望「ベトナム鉄鋼業の発展初期における日系中堅電炉企業の役割 -ビナ・キョウエイ・スチール社成立過程の研究-」『アジア経営研究』第30-1号,アジア経営学会,2024年8月,77-92頁。
https://doi.org/10.20784/jamsjsaam.30.1_77