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2024年9月25日水曜日

論文「ベトナム鉄鋼業の発展初期における日系中堅電炉企業の役割 -ビナ・キョウエイ・スチール社成立過程の研究-」を公開しました

 拙稿「ベトナム鉄鋼業の発展初期における日系中堅電炉企業の役割:ビナ・キョウエイ・スチール社成立過程の研究」が『アジア経営研究』30-1号に掲載されました。J-Stageにアップされましたので,ダウンロードいただけます。

 2020年4月に科研費をとってベトナム鉄鋼業における外資企業成功の条件に関する研究を始めました。しかし,コロナ禍で海外調査ができなくなり,研究対象を共英製鋼に絞って国内取材から始め,2023年にようやく現地調査を再開して,本稿を完成させるに至りました。

 本稿は技術移転論と中堅企業論で,ビナ・キョウエイ・スチール(VKS)社の事例を解釈しています。共英製鋼が1990年代にベトナムに移転したのは,当時の現地で必要とされていた鉄筋用棒鋼の生産技術でした。当時のベトナム進出はハイリスクでしたが,共英製鋼は創業家高島一族の果敢な行動と組織の力を結合させて実行しました。それゆえにビナ・キョウエイ・スチールは成功し,経営を軌道に乗せることができました。しかし,まもなく鉄筋用棒鋼の生産は他の企業もできるようになりました。また共英製鋼の弱い財務基盤は,バブル崩壊後の建設不況の下で経営危機を引き起こしました。それゆえにビナ・キョウエイ・スチールは21世紀突入とともに激しい競争にさらされることになりました。保有していた技術の意義と限界,中堅企業としての強さと弱さがこの事例を特徴づけていたのです。

 21世紀になってからの共英製鋼のベトナム事業については,別の雑誌に投稿中です。

川端望(2024)「ベトナム鉄鋼業の発展初期における日系中堅電炉企業の役割 -ビナ・キョウエイ・スチール社成立過程の研究-」『アジア経営研究』30-1,77-92。

2024年9月18日水曜日

『アジア経営研究』第30-1号発行

 『アジア経営研究』第30-1号が発行されました。拙稿「ベトナム鉄鋼業の発展初期における日系中堅電炉企業の役割―ビナ・キョウエイ・スチール社成立過程の研究―」も掲載されています。11月くらいにはJ-Stageで無償公開されるはずです。

 『アジア経営研究』はアジア経営学会が発行する査読付き学術誌です。アジア経営学会入会のご案内はこちら↓
https://www.asiakeieigakkai.org/nyukai.html


『アジア経営研究』第30-1号目次

第1部 統一論題論文

分断化する世界経済の中でのサプライチェーンの変容 ―半導体産業を事例に―(中原裕美子)

第2部 論文 

ローソンの国際化戦略の特徴と影響要素―歴史的な側面からの考察―(鍾淑玲)
ジョブ型雇用社会におけるインターンシップの役割についての考察―台湾の企業と大学のヒアリング調査分析から―(國府俊一郎)
三菱重工の航空機事業の撤退にみる組織能力と構造的慣性に関する一考察 (安田賢憲,江崎康弘)
インド鉄鋼企業の再編とArcelorMittal/日本製鉄連合の進出についてー企業経営分析からの検証― (井上修,石上悦朗)
ベトナム鉄鋼業の発展初期における日系中堅電炉企業の役割―ビナ・キョウエイ・スチール社成立過程の研究―(川端望)
アジアを起点とした米麺文化の移植可能性―アフリカ・ガーナにおける米麺の潜在需要― (黒川基裕,グエン・ティ・ホアン・ハー,グエン・ティ・ハイ,タ・ティ・ホアイ)
新興国市場のボリュームゾーンと競争行動―インドオートバイ市場の事例―(三嶋恒平)
日本企業のアジア展開の変容―経済安保を踏まえたサプライチェーンへの影響低減の観点から―(酒向浩二)
新興国自動車産業のキャッチアップ戦略―制約と機会(李澤健)
ネパールにおけるカースト階級に基づく社会的排除と貧困問題 (シャム クマル カルキ)
中国電気自動車・車載電池企業の成長と競争力―エコシステムの視角から観察・分析―(陳晋)
在日韓国人企業家の事業動機と行動様式―重光武雄を中心に―(柳町聡)
Empirical insights into foreign-led tech startups in Japan (Idrissova Ainash)
経済自由化後のインド機械系ものづくり企業の成長 ―急成長する部品製造企業の過程追跡型事例研究―(清水雅巳)

第3部 研究ノート 

自動車メーカーのバリューチェーン拡大戦略とその課題―中国とインドネシアのトヨタグループ事例を中心に―(垣谷幸介)

第30回全国大会報告(三嶋恒平)
編集後記(井口知栄,金綱基志)




2024年3月21日木曜日

旅立ちの時

 旅立ちの時

 当ゼミの修了生,博士研究員の銀迪さんは,4月1日から同志社大学商学部助教に就任します。思えば,大学院受験の相談を受けて,出張ついでに銀さんと池袋の喫茶店で会ったのは2015年夏のことでした。それから約9年間,色々なことがありました。とくに後期課程に進んでからは,私は,春も夏も秋も冬も,銀さんの論文が完成するだろうか,仕事が見つかるだろうかという緊張と不安を抱えていましたが,本人にはその数倍の重圧がかかっていたことでしょう。よく耐えてがんばったと思います。博士論文と,単著論文1本,共著論文2本を公刊して,ついに独り立ちする時を迎えました。

 おめでとうございます。

銀迪(2022)「高成長期の中国鉄鋼業における二極構造の形成」博士(経済学)学位論文。

銀迪(2022)「中国の鉄鋼産業政策:設備大型化・企業巨大化・生産集中化の促進とその帰結」『産業学会研究年報』37,133-153。

川端望・銀迪(2021)「中国鉄鋼業における過剰能力削減政策:調整プロセスとしての産業政策」『アジア経営研究』27,35-48。

川端望・銀迪(2021)「現代中国鉄鋼業の生産システム: その独自性と存立根拠」『社会科学』51(1),1-31。



2022年8月31日水曜日

『アジア経営研究』第28号と『ベトナムの味』

 『アジア経営研究』第28号が届きました。当ゼミの修了生Nguyen Kim Ngan グエン・キム・ガンさんの論文”Issues in international manufacturer-supplier relationship: A multi-case study of Vietnam's motorcycle industry”も掲載されました。ちょうどガンさんから,彼女も編集に参加した一般社団法人BETOAJI発行の『ベトナムの味』をいただいたところでした。おめでとう。そして,ありがとう。







2018年12月30日日曜日

『アジア経営研究』第14,15号を1月1日よりネット公開

 『アジア経営研究』第15号(2009年),第14号(2008年)電子版の入力・点検作業完了。2019年1月1日にJ-STAGEで公開します。これでようやく過去10年分の公開にこぎつけました。以下はラインナップの一部です。

第14号
大会招待講演
長谷川治清「世界のアジア経営研究の動向:テーマと視点」
招待論文
藤本隆宏・葛東昇・呉在烜「東アジアの産業内貿易と工程アーキテクチャ」
統一論題論文
善本哲夫「日本企業のものづくり展開とアジア力」
土屋勉男「アジア自動車産業の競争力と日本メーカーの戦略」
川端望「東アジア鉄鋼企業の比較分析」
湯之上隆「生産能力から見た東アジアの半導体産業の国際競争力」

第15号
大会記念講演
永池克明「グローバル経営の新潮流とアジア」
統一論題論文
秋野晶二「エレクトロニクス産業におけるグローバルな生産構造の変化とアジアEMS企業の成長」
中原裕美子「グローパル開発ネットワークの諸類型とその決定要因」

J-STAGE『アジア経営研究』トップページ。

大藪龍介『検証 日本の社会主義思想・運動1』社会評論社,2024年を読んで

 大藪龍介『検証 日本の社会主義思想・運動1』社会評論社,2024年。構成は「Ⅰ 山川イズム 日本におけるマルクス主義創成の苦闘」「Ⅱ 向坂逸郎の理論と実践 その功罪」である。  本書は失礼ながら完成度が高い本とは言いにくい。出版社の校閲機能が弱いのであろうが,校正ミス,とくに脱...