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2024年10月12日土曜日

幸福への道か,底なし沼か:中国製の日常系アニメ『呼喚少女Call Up ・Girls』のPVが超絶ハイクオリティという話

 中国の日常系アニメ『呼喚少女Call Up ・Girls』のPVがすごいという話。2019年からマンガとしてネット配信されていた作品がアニメ化されたという局面らしい。一瞬,日本のアニメかと思うがセリフも背景の文字も簡体字であるし,制服がジャージっぽいので間違いなく中国である。デザインと言い動きと言い,中国のオタク界隈が,ここまで萌えに習熟したとは恐るべき進化である。ただし,それが幸せへの道であるか,底のない沼であるかは,わからない。


YouTube。もとはBiliBili動画。
https://www.youtube.com/watch?v=O9ABD1oKlsQ&t=1s


おそらくこれが原作。テンセント漫画。原作/凳小氷 円小劉。作画/羅克ROKとある。 

https://ac.qq.com/ComicView/index/id/642826/cid/1657




2022年6月28日火曜日

追悼・渡辺宙明先生。『組曲バトルフィーバーJ』と『電子戦隊デンジマン音楽集』の日々

 2022年6月27日,渡辺宙明先生が亡くなられた。私にとって最初の渡辺ソングと言えば,小学生時代の「Zのテーマ」であった。人の命が尽きた後も不滅の存在があるのだと信じた。その後,次第にどうかしていきながら高校生となり『組曲バトルフィーバーJ』と『電子戦隊デンジマン音楽集』のLPレコードを購入した(お金が足りず,同じころに出た『宇宙刑事ギャバン音楽集』は隣人に借りてカセットテープに落とした)。その魅力をたどたどしく周囲に訴えるもまったく理解されずに笑われ続け,意固地になって毎日のように聞き耽った。「ダンシングソルジャーズ」「愛のテーマ」「はるかなるデンジ星」「青春のテーマ~一人ぼっちの青春~」「闘争の終り」を聞きながら,何に感動しているのか自分でもわからないのに,誰にもわかってもらえないだろうと思いこんだ。「バトルフィーバーJのテーマ」「哀詩」「勇者が行く」「ベーダ―大出撃」「デンジマンにまかせろ!」を聞きながら,何とどう戦うかわからないのに,戦い続けねばならないのだと思った。当時中二病と言う言葉はなかったが,もう高三で,大学受験は目の前に迫っていた。その後,BJのLPは行方不明となり,デンジマンのLPは母親が納屋にしまうも大家が無断で廃棄,CDで買い直して現在に至る。中二病という言葉は生まれて久しいが,もう57歳で,このまま息絶えるのだろう。これらの曲を聞くことができたのだから,それでもよい。

「バトルフィーバーJ」ミュージック・コレクション,日本コロムビア。

「電子戦隊デンジマン」ミュージック・コレクション,日本コロムビア。




2022年5月1日日曜日

夜の世界から来た怪物くん:藤子不二雄A先生の訃報に接しての投稿

 私は1964年生まれですが,自分にとって藤子不二雄A先生の独自作と言えば『怪物くん』です。もっとも,幼少の頃はF先生とA先生が別々の作品を描かれていたことにはまったく気づきませんでした。『怪物くん』のストーリーや登場人物は,『オバケのQ太郎』ほどには覚えていないのですがが,キングコミックス版10巻も持っていたし,1968-69年放映の白黒アニメも見ていました。放映が日曜日だったのが重要なところで,当時わが家にはテレビがなかったのですが,祖母と伯母が暮らす家にはありました。日曜日の夜は家族が祖母の家に集まる習慣があったので,『怪物くん』は無理なく見ることができたのです(この頃,私が他の番組を隣の家に入り浸って見るので,両親はまずいと思い,やがて泣く泣く白黒テレビを買いました)。解説は淀川長治さんで,「サヨナラ,サヨナラ,サヨナラ」もこの番組で覚えました。スポンサーは不二家で「不二家,不二家,でーはまた来週」というエンディングが楽しく,私はむやみにメロディチョコやペンシルチョコを両親にねだりました(パラソルチョコは傘の柄に当たる芯があって食べにくいのと,ペンシルチョコより小さいような気がしてあまり好みませんでした)。

 『怪物くん』のイメージは「夜」でした。そこが決定的に『オバQ』と違っていました。そもそもマンガ版第1話のタイトルは「怪物くんたちが来た夜」でしたし,重要な話には夜のシーンが多くありました。怪物くんはとにかく,ドラキュラや狼男やフランケンが昼間おおっぴらに出歩けないという事情もあったでしょう。怪物たちは夜に忍び出て来て,怪しげに行動するのでした。怪物くんたちの国に向かう超特急モンスター号も深夜0時に出発しました。背景ばかりでなく,人物もベタ塗りがきつく,日常から闇へのつながりを連想させました。のちにカラーアニメになると,かえってなじめない気持ちが起こったのも,『オバQ』とちがうところでした。

 オバQは,太陽の光が降り注ぐ雲の上の国からやって来ました。怪物くんは,異形の者たちがうごめく夜の世界からやって来ました。世界は光ばかりだけでなく闇からもできていました。そして,どちらも私のすぐそばにある世界であり,どちらにも友達はいると,幼い私は信じたのです。

 さようなら,藤子不二雄A先生。『怪物くん』と会わせてくれて,ありがとうございました。

2022年4月11日Facebook投稿に加筆。

「藤子不二雄Aさん死去、88歳 「怪物くん」「忍者ハットリくん」」朝日新聞DIGITAL,2022年4月7日。



大藪龍介『検証 日本の社会主義思想・運動1』社会評論社,2024年を読んで

 大藪龍介『検証 日本の社会主義思想・運動1』社会評論社,2024年。構成は「Ⅰ 山川イズム 日本におけるマルクス主義創成の苦闘」「Ⅱ 向坂逸郎の理論と実践 その功罪」である。  本書は失礼ながら完成度が高い本とは言いにくい。出版社の校閲機能が弱いのであろうが,校正ミス,とくに脱...