『帰ってきたウルトラマン』には,実際に採用された主題歌「帰ってきたウルトラマン」(作詞:東京一,作曲:すぎやまこういち,歌:団次郎・みすず児童合唱団)のほかに,NG主題歌「戦え!ウルトラマン」(作詞,作曲,歌は同じ)がある。このNG主題歌は,私(1964年生)の年代にはDAICONフィルム版『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』(脚本:岡田斗司夫,特技監督:赤井孝美,監督:庵野秀明,1983年)で使用されたことで知られている。
私は,メロディはどちらも独自の味があるが,その歌詞ゆえに「帰ってきたウルトラマン」の方が採用されてよかったと個人的には思っている。以下にその理由を書く。
この二つの歌を作詞された東京一氏とは,円谷一氏の筆名だ。氏は「ウルトラマンの歌」と「ウルトラセブンの歌」も作詞された。この2曲の歌詞は,基本的に科特隊とウルトラマンとセブンへの賛歌だ。例えば「胸につけてるマークは流星」,「光の国からぼくらのために」,「進め銀河の果てまでも ウルトラアイでスパーク!」だ。また,「戦え!ウルトラマン」がもし採用されていたら毎週放映されたであろう1番は「ビルを壊すぞ」と意表をついて始まり,怪獣被害を描写した後「帰ってきたぞ」と「ウルトラマン」のリフレインに切り替わる。それはそれでいいのだが,とくに視聴者の心に訴えるものはない。ここでは,ウルトラマンは神のごとき問題解決者なのである。
しかし,「帰ってきたウルトラマン」の1番は,これらと全く異なる歌詞から始まる。「君にも見えるウルトラの星」だ。ヒーローを讃えるのでもなく,ヒーローに助けてもらうことを当然とするのでもない,テレビの前の,一人一人の「きみ」にウルトラの星が見えると言っているのだ。放映当時私は6歳だったが,白黒テレビの前でこの歌詞を聞いたときの衝撃を忘れることができない。そして「遠く離れて地球に一人」と続く。これに似た歌詞は「ウルトラセブンの歌」にもある。「はるかな星が郷里だ」の箇所だ。また「帰ってきたウルトラマン」と「戦え!ウルトラマン」の3番にもある。「あれがあれが故里だ」だ。何なら「戦え!ウルトラマン」は「遠く離れて地球に一人」とも言って,そこから「あれがあれが故里だ」と続いてもいる。だが,これらはセブンのことだけ,新ウルトラマンのことだけを述べている。「帰ってきたウルトラマン」の冒頭は違う。君にはウルトラの星が見える,そこから来たウルトラマンも,たった一人の存在だと,地球人とウルトラマンの関係を述べているのだ。「君にも見えるウルトラの星」という呼びかけがあることで,双方向の関係が生まれるのだ。
地球人とウルトラの星から来たウルトラマンは,一方が他方を利用するだけではない,一方が他方に解消されることもない,お互いを知る異なる存在だ。このことを高らかにうたったことで,「帰ってきたウルトラマン」は名曲になったのだと,私は思っている。
「帰ってきたウルトラマン」
https://www.youtube.com/watch?v=AZCbwL9bSD0
「戦え!ウルトラマン」
https://www.youtube.com/watch?v=9ORy_8WO_k8
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