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2026年4月6日月曜日

原油価格上昇に対して何をすべきであり,何はすべきではないのか

 政府は原油の需要抑制策を検討し始めたが,私は 1)省エネ法,建物省エネ法,温暖化対策推進法により,産業界には省エネ,一般市民には自家用車から公共交通機関へのモーダルシフト,全般的に温室効果ガス排出抑制,の3点を,もともとある政策目標の強化として促してよいと思う。市場に対しては,2)エネルギーコストを価格に転嫁する。それを抑制しない。3)同時に便乗値上げや優越的地位乱用を規制する。4)エッセンシャルな需要のために政府が介入する。こうした基本線が大事であると考える。5)抽象的で精神主義的なケチケチ運動による動員と煽動をしてはならない。

 やや具体的には以下のことが考えられる。

*どうしても必要な行政措置:医療物資(透析回路、廃液容器、輸血パック、注射器、医療用手袋、エプロン)のように直接生命にかかわる物資は,法及び行政措置による優先確保もやむを得ない。

*省エネ規制強化:省エネ法,建築物省エネ法,温暖化対策推進法により,産業界の省エネを促す。公共調達はその見本となる水準を示す。

*価格転嫁奨励と不当引き上げ取り締まり:エネルギーコストとCO2コストについて,価格転嫁を奨励し,抑制しない。同時に,独占禁止法や中小受託取引適正化法(取適法=旧下請法)で便乗値上げや優越的地位の乱用を取り締まる。つまりは価格メカニズムを正常に発揮させる。

*「コスト節約」でなく「省エネ」を奨励:産業界に求めるのは「省エネルギー」であって「節約」ではない。1970年代のように賃金を「節約」させる筋違いを促してはならない。

*物価上昇による需要調整:当然物価は上がるので,それによって一般消費者の需要を調整する。

*生活補助の適正化:消費を人為的に促すガソリン補助金は廃止する。自家用車から公共交通機関への切り替えには政策的介入があっても良いので,公共交通機関運賃補助に切り替える。

*生活支援:不況の程度に応じて,生活支援一時給付金,公共交通機関運賃補助に切り替え,その間に給付付税額控除を制度設計する。財源は需給ギャップがプラスが続くなら他の支出の抑制で,不況でマイナスに落ち込んだ場合は国債で調達する。

 原油価格上昇は実質的物価上昇であり,金融・財政政策で止められるものではなく,景気をある程度冷やすことは避けられない。政府が景気を冷やしたくないと考えること自体,無理なのである。逆に政権批判者が,あらゆる値上げを攻撃するのも無理である。

 価格が適正に上昇すればおのずと需要は抑制される。まずはそれが基本である。だから価格メカニズムを歪めないことが重要である。無理な統制をかけると,市場を歪め,かえって不当利得を引き起こす。ガソリン補助金は,あろうことか石油消費を促すという歪みを引き起こしている。

 政府が政策的に誘導してよい目標とは,産業における省エネルギーによる効率向上と,自家用車から公共交通機関へのモーダルシフトである。これは法と社会的合意に沿ったものであり,協力も得やすい。

 一般消費者向けの省エネ国民運動やケチケチ精神運動はすべきではない。逆に,しなくとも物価が上がれば,誰もがおのずとないし嫌でも節約する。当たり前のことである。

 一般消費者向けのケチケチ運動は二つの弊害を引き起こす。ひとつは,必要なものまで節約するようになり消費を減らすので,不必要に不況をひどくすることである。このことに何の意味もない。もうひとつは,わが国得意の同調圧力により,ルサンチマンの発露やヒマの紛らわしとしての節約警察を跋扈させ,ぎすぎすした雰囲気を社会に蔓延させて精神的健康を損なうことである。このことに何の意味もない。

補記:念のため。コロナ禍での接触回避や大規模ワクチン接種は科学的に正しかった。問題は自然科学的に正しいことを,社会がどのような手続きとコミュニケーションを通して実現するかである。

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