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2018年11月2日金曜日

入管法改正。「移民政策だ」「移民政策ではない」の空中戦をやめ,中身の議論を

 入管法改正について。議論の入り口から無意味な空中戦になっていることを危惧する。在留資格「特定技能」1,2の設置について,「移民政策だ」「移民政策でない」という議論は,意味のない議論だからやめるべきだ。これは与党であれ野党であれマスコミであれ,日本語がわかり,Wikipediaさえ読めればわかることだ。

*国際的な定義は,ある国に12が月以上居住していれば移民なのだから,わが日本はとっくの昔に移民社会になっているのだ。当ゼミの留学生も,日本に来て1年以上たっているからみな移民だ。修了して,永住権は持っていないが「技術・人文知識・国際業務」ビザを更新しながら日本の会社で働いている元留学生もみな移民だ。留学生や技能実習生を大量に受け入れている段階ですでに移民政策を実施しているのであり,いまさらやるもやらないもない。

*当たり前のことだが,留学生も技能実習生も英語の世界ではみなemmigrant(移出民)とimmigrant(移入民)と扱われている。

*アメリカ合衆国のビザの種類には「移民ビザ(immigrant Visa)」があり,各種の非移民ビザと対比されている。この場合の移民は,永住権を持つ外国人を意味する。

*日本政府・自民党の定義は,「入国時に在留期間の制限がない者」で,アメリカのビザの定義よりやや狭い。入国後に永住ビザを取るケースを含んでいないからだ。だから,政府の見解では現在移民政策を取っておらず,今回の入管法改正も移民政策ではない。

 互いに定義が違うまま議論するのがおかしいのであり,報道はそこをきちんと指摘しなければならない。そして,メディアの役割は真の争点を指摘することであり,かみあわないことをワーワー言い合っているのを,そのまま報道することではない。

 空中戦をやめて具体的議論に入るべきだが,私もその準備が十分ではない。以前から述べている通り,私の見解の基本線は,理論的には現代資本主義において国際労働移動は不可避の問題であり,政策的には技能労働ビザを設置するしかなく,そのやり方が問題だというものだ。よって,今回の入管法改正に即してもっと具体的にコメントすべきなのだが,精査が遅れている。できるだけ急いで勉強したい。

「移民を流入させたがゆえの悩み,移民を流入させないがゆえの悩み (2016/6/28)」Ka-Bataアーカイブ。
https://riversidehopearchive.blogspot.com/2018/10/2016628.html

「外国人労働者について:もはや「受け入れるか,受け入れないか」の問題ではなく,「どう受け入れるか」の問題である (2018/6/6)」Ka-Bataアーカイブ。
https://riversidehopearchive.blogspot.com/2018/10/201866.html

「入管法改正案を閣議決定 単純労働で外国人受け入れへ」『日本経済新聞』2018年11月2日。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37249690R01C18A1MM0000/

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