2月15日の東京株式市場で,日経平均株価は終値で3万円を超え,30年6か月ぶりの高値になったとのこと。
株価がつり上がっているのは,金融緩和の副作用である。しかし,庶民にはほとんど良いことはなく,景気全体は停滞している。内閣府の『月例経済報告』によっても「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にある」のであって,せいぜい「持ち直しの動きがみられる」程度だ。2020年度実質GDP見通しはマイナス5.2%,うち民間最終消費支出はマイナス6.0%だ。
もともと不況対策としての金融緩和は,流動性枯渇と信用機構の連鎖的崩壊を防ぐために行うものである。そこまでは意味があるが,現在の低成長経済で成長回復をもくろんでひたすら金融緩和を深堀りしても,実体経済にはほとんど効果はない。金利が下がったから設備投資をし,在庫を増やそうという状態ではないからだ。まして日銀がETFが続けているのは,露骨な上場企業優遇策を国会の議決なしでやっているに過ぎない。
現下の不況対策は財政政策を中心に,それも,金融資産投資に回らず,確実に実体経済に回るような,生活と営業を支える支出に回るように行わねばならない。低所得者への現金給付,住宅確保給付,営業支援給付,休業者への給付金,失業給付金を地味に続けることが,庶民の生活を救い,バブルという副作用を最小化する道だ。
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