フォロワー

2024年8月5日月曜日

「キャッシュレス決済」の元祖としての預金振替:オープンキャンパス企画「金融・経済博物館」あいさつ

 東北大学オープンキャンパス(7/30-7/31実施)経済学部企画「金融・経済博物館」リーフレット掲載あいさつ。もう何度も書いたが,当座性預金は今日の貨幣の主要部分であり,「デジタル通貨」であり「キャッシュレス決済」である。「21世紀,デジタル技術の発達により,デジタル通貨とキャッシュレス決済が出現した」というのは間違いなのでご注意を。

--

 東北大学経済学部特設「金融・経済博物館」へようこそ!経済学部が収集しためずらしい貨幣や有価証券を展示しています。

 市場経済において,貨幣はものの価値を測り,交換を円滑に行い,後払いを可能にし,富を蓄積するツールとなるといった,大切な機能を担っています。すべての機能を一身に集めた万能貨幣は金や銀などの貴金属です。しかし,貴金属という「もの」を調達し,とりあつかう不便さから,様々な形の代用貨幣が生み出され,そちらの方が流通してきました。それが銀行券や政府紙幣です。代用貨幣は便利ですが,価値が目減りするインフレーションというリスクもあります。経済発展のための努力と,それに伴う矛盾との格闘の歴史が,過去の貨幣には表現されているのです。

 形がないためにここに展示できない代用貨幣もあります。それは,当座預金や普通預金といった預金貨幣です。実は,「預金で支払う」ことこそ「キャッシュレス決済」の元祖であり中核です。コンピュータがなかった頃から行われている預金決済が発達して,今日の様々な「キャッシュレス決済」につながっています。数字だけの存在もまた,貨幣の歴史をつくってきたのです。

 貨幣の不思議さと重要な役割について,この博物館の展示をご覧になりながら考えていただけると幸いです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

「カネのクラウディング・アウト」再考:超過準備の存在という条件

  従来,私は赤字財政に伴う国債発行は,カネのクラウディング・アウト(金融市場ひっ迫による金利高騰)は起こさず,モノとヒトのクラウディング・アウト(財・サービス・人材の供給ひっ迫とインフレ)は起こすという見地を採ってきた。これは現代貨幣理論(MMT)と同じ見解である。しかし,「一...