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2020年1月19日日曜日

「この外国人をホワイトカラー職務に就かせる」と約束して肉体労働をさせる違法行為は,外国人労働者も日本人労働者も大学をも脅かす

 「“高度外国人材”として働けない」NHKニュースおはよう日本,2020年1月14日で報道されているように,「技術・人文知識・国際業務」ビザの外国人労働者に土木作業,倉庫の整理,牛舎の片づけやえさやりなどをさせているのは違法行為である。外国人労働者当人でなく,会社によって引き起こされている違法行為だ。研修のために入社後数か月現業の技能労働をさせるのはよいが,当然本人にその計画を理解してもらわねばならない。ここで摘発されているのはそのような例ばかりでなく,恒久的に肉体労働に従事させられていたのだろう。
 NHKで取り上げられている例は留学生ではない。だが,同じようなことが留学生が日本の大学を卒業・修了した場合に行われると,大学のあり方にも影響が出てくる。
 現在,事実上の就労目的での留学が拡大していると報道されており,その対象が日本語学校から,一部でたらめな留学生受け入れを行っている大学に広がっている。そこでは法の抜け道としてのアルバイト就労が問題になっている。そうした状況下で,学校卒業後に日本で就労できるかどうかを在留資格の切り替えによって管理することは,不正常な就労を防ぐ砦になっている。「大卒でホワイトカラー職への採用が決まったら『技術・人文知識・国際業務ビザ』に切り替えられるし,実際にホワイトカラー業務に就ける」という条件を崩してはいけないのだ。ここが崩れると,外国から日本の大学に留学して,学部卒業後,ブルーカラー業務につくというルートができてしまう。一方で日本の留学生受け入れ拡大策を国際交流でもイノベーション促進策でもない単純労働力確保政策にしてしまうものであり,高等教育の無駄遣いだ。他方で「特定技能」資格によってブルーカラー外国人労働者の質と処遇を保証しようという制度が骨抜きになって,ブルーカラー外国人労働者の需給管理が困難となってしまう。端的に供給過剰になって外国人労働者の処遇は下がるし,日本人労働者との競合が発生する恐れがある。
 だから労働政策の立場から見ても大学の立場から見ても,このような違法行為は厳重に取り締まらねばならない。日本の大学を卒業した留学生が労働者となる場合は,会社がブルーカラー職務でなくホワイトカラー職務に就けると約束した場合にのみ「技術・人文知識・国際業務」ビザへの切り替えを認めるという,現在の制度を守らねばならない。そして会社には,その約束を守らせねばならないのだ。

<関連投稿>
「外国人留学生が卒業後に起業することは促進すべきだが,在学中の起業は認めるべきではない理由」2019年6月13日。
「続々:留学生が日本の大学を卒業して就職する際の条件緩和について」2019年5月29日。
「続・留学生が日本の大学を卒業して就職する際の条件緩和について」2018年11月3日。
「留学生が日本の大学を卒業して就職する際の条件緩和について」2018年10月22日。


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