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2018年12月15日土曜日

ベトナム天然資源環境省の鉄スクラップ輸入禁止検討は暴挙。背景にある問題には日本の業界も取り組むべき

 ベトナム天然資源環境省(MONRE)が鉄スクラップ輸入禁止を検討中との報道があった。無茶苦茶である。鉄スクラップは廃棄物ではなく,原材料である。確かに,オイルが入ったままの機械のような,雑品と呼ばれる質の悪いスクラップもあり,それが環境汚染の元になることはありうる。しかし,それは分類をきちんとし,条件を定めて規制すればよいことであって,鉄スクラップの主要銘柄(ヘビーなど)を一律輸入禁止にするなど,常識を完全に逸脱している。

 ベトナムの2017年鉄スクラップ供給高は902万2712トン,うち内需で使用するのが882万2000トンだが,国内供給は462万1000トンしかなく,440万1712トンを輸入している。鉄スクラップの輸入を禁止したら,電炉メーカーの操業と経営は成り立たない。これは鉄鋼業に対する虐殺行為と言わねばならない。紙面の記事によればベトナム鉄鋼業協会(VSA)は抗議しているが当然である。

 なお,この問題の背景として,質の低いスクラップが現実に汚染を引き起こしている事情は否定できない。しかも,困ったことに日本からの輸入品にも,品質の低いものが紛れているのである。業界紙の記述からも,私自身が聞き取った関係者の証言からも,そのように言って間違いない。スクラップ回収,輸出業務については,日本産業の品質は自慢できるものではないのだ。改めねばならない。

「ベトナム政府、鉄スクラップ輸入禁止検討 鉄鋼業、輸出国に打撃も」『産業新聞』2018年12月13日。



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