9月に博士課程を修了した張艶さんの博士論文が東北大学機関リポジトリTOURで公開されました。この博士論文は,張さんがこれまで査読を経て『アジア経営研究』誌に発表した共著(第一著者)論文1本と単著論文2本,また投稿中の単著論文1本に基づいていますが,大幅な加筆・修正を加えて一つのまとまりを持った論文に仕上げたものです。
<博士論文>
張艶「地域エコシステム構築による新興国産業のグローバル・バリューチェーン参入と高度化-大連市ソフトウェア・ITES産業の事例を通して-」(審査委員:川端望・柴田友厚・西澤昭夫)
http://hdl.handle.net/10097/00126448
大連市ソフトウェア・ITES産業の詳細な事例分析を通して,GVC論を組み込んだ地域エコシステムの3段階区分という独自モデルを提示しました。とくに,新興国ハイテク産業育成においては,先進諸国の産学連携のように大学における先端研究成果の産業化がただちに課題とされるのではなく,まずはGVCへの参入が最大の目的とされ,その参入のためだけにも地域エコシステムの構築が求められることを明らかにしました。
<主要業績>
張艶(2018)「大連ソフトウェア・ITEサービス産業の地域エコシステム」,『アジア経営研究』24,pp.109-122。
https://doi.org/10.20784/jamsjsaam.24.0_109
張艶(2017)「大連市におけるソフトウェア・情報技術サービス産業の発展と転機」,『アジア経営研究』23,pp.103-116。
https://doi.org/10.20784/jamsjsaam.23.0_103
張艶・川端望(2013)「大連市におけるソフトウェア企業の事業創造と変革 -4社の事例分析から‐」『産業学会研究年報』28,pp.73-85。
https://doi.org/10.11444/sisj.2013.73
張艶・川端望(2012)「大連市におけるソフトウェア・情報サービス産業の形成」,『アジア経営研究』18,pp.35-46。
https://doi.org/10.20784/jamsjsaam.18.0_35
Yan Zhang(2017). Development of and change in the software and IT-enabled services industry in Dalian, China , TERG Discussion Paper,361, pp.1-18.
http://hdl.handle.net/10097/00121009
Yan Zhang and Nozomu Kawabata(2015). Business creationand transformation processes in four software companies in Dalian, China:Commonalities and differences, TERG Discussion Paper, 331, pp.1-21.
http://hdl.handle.net/10097/59620
Yan Zhang and Nozomu Kawabata(2013). The Formation of the Software and Information Services Industry in Dalian ,China, TERG Discussion Paper,293, pp.1-18.
http://hdl.handle.net/10097/55766
(英文DPは日本語論文の英訳です)
川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。
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