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2019年4月19日金曜日

日本語能力試験N4を基準に「特定技能」外国人労働者を受け入れるのは無茶だ

 外国人労働者受け入れ政策について,入管法改正成立以後,他の仕事に追われて詳しく調べられなくなった。なので,一つだけ,あまり言われていないことを言いたい。

 「特定技能」の在留資格を取り,日本で技能労働(ブルーカラー労働)をしようとする外国人労働者に対して,日本語能力を,「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」しか求めないのは適切だろうか。

 この問題は,様々な立場のいずれからも提起されていないように見える(あるいは介護の現場からは提起されているかもしれない)。

 大学で学生を教えている私の経験から言えば,N4では,様々な場面で,たとえ双方に悪意がなくてもミスコミュニケーションは避けがたい。そして,相手に悪意があれば,抵抗することは難しい。当人がわかる言語での説明が付されていない限り,行政的な手続きも自分だけではできない。そして,雇い主や行政窓口や顧客とのトラブルに見舞われた時に,日本語で交渉することも困難だと思う。

 外国人を適切に受け入れ,かつその生活と権利を守りやすくするために,要件はN4ではなく,N3 にすべきではないだろうか。

 外国人とのトラブルを恐れて受け入れに消極的な立場からの論評は,「外国人全般」に否定的であるためにこの問題を具体的にみていない。逆に,外国人の人権を尊重する立場からは,受け入れを制限する方向の発言をしたくないという心性が働くのか,やはりこの問題に触れることが少ない。

 しかし,いったん受け入れた外国人の人権を守るためには支援制度を構築して運用すべきだが,そもそも,対処しきれないような規模と語学能力水準の人を受け入れてしまっては,現実的困難が大きくなりすぎる。受け入れる要件や速度,規模について考えることは,排外主義でもなんでもない。現に大学では留学生相手に行っていることだ。

 このままでは,多数の労使トラブルが発生する。その中には,本当に労使どちらかが法や就業規則に違反している場合もあれば,双方の誤解やすれ違いからくるものもあるだろう。大学でもそれに類似したことが多数生じている。N1を持つ大学院生との関係においてすら,生じる。

 経験的な感触からの設定で申し訳ないが,N4は無茶だと思う。N3にすべきではないか。あまり引き上げると,応募できる外国人が少なくなってしまい,漢字圏以外の人が応募できなくなるが,N3ならばその弊害は少ないと思う。そもそもこれまでのところ,N5やN4よりN3の方が受験者が多いのだ(日本語能力試験公式サイトのデータより)。

 皆さんは,いかがお考えでしょうか。

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