論文「通貨供給システムとしての金融システム ―信用貨幣論の徹底による考察―」を東北大学経済学研究科の紀要である研究年報『経済学』に投稿し,掲載許可を得ました。5万字ほどあるので2回連載になるかもしれません。しかしこの紀要は年に1回しか出ませんので,掲載完了まで2年かかる恐れがあります。そこで,著者最終版原稿(Accepted Manuscript)としてDPで公開します。
学部講義「日本経済」担当になってから6年。マクロ経済政策論と格闘し,自身の師匠である村岡俊三の信用論を30年ぶりに学び,さらにさかのぼって師匠の師匠である岡橋保の理論の先駆性を確認しました。これまであれこれとブログに書き散らしてきましたが,ようやく一部が論文になりました。
この論文は学説史的に誰が正しい,誰が間違いだということを主眼とするのではなく,通貨供給システムの半分を占める金融システムを,わかりやすく,あえて言えば学部学生にもわかるように教科書的に書くことに努めました。なお,通貨供給システムのあと半分は財政システムであり,こちらの研究もいつかは書き遂げたいと思います。
ダウンロードいただけます。
https://researchmap.jp/read0020587/misc/46337895/attachment_file.pdf
<目次>
通貨供給システムとしての金融システム
―信用貨幣論の徹底による考察―
Ⅰ はじめに
Ⅱ 金融仲介か信用創造か
1 問題の所在
2 信用創造を通した新規の通貨発行
3 正貨流通下での金融仲介
4 正貨流通停止下での金融仲介
5 管理通貨制度下での金融仲介は信用創造を前提とする
6 小括
Ⅲ 銀行システムの成立
1 問題の所在
2 信用貨幣の基礎としての手形流通
3 銀行による自己あて債務による信用供与
4 中央銀行による社会的支払い決済システムの成立
5 信用貨幣としての預金・中央銀行券
6 小括
Ⅳ 銀行システムにおける準備金の必要性と役割
1 問題の所在
2 正貨流通・兌換下での準備金
3 正貨流通停止・兌換停止・中央銀行成立下での準備金
4 個別銀行にとっての準備金と社会全体の準備金
5 中央銀行当座預金を頂点とする代用貨幣のシステム
6 通貨価値の保全という難題
7 小括
Ⅴ 管理通貨制度下の金融システムにおける貨幣流通と物価
1 問題の所在
2 貨幣流通の基本モデル
3 預金貨幣の発行と還流:信用創造
4 中央銀行券の発行と還流:預金からの形態転換
5 管理通貨制度下における貯水池なき蓄蔵貨幣機能
6 貨幣流通法則の作用=内生的貨幣供給
7 遊休と金融的流通
8 小括
Ⅵ おわりに
0 件のコメント:
コメントを投稿