合計特殊出生率={母の年齢階級別出生数/年齢階級別女性人口}15 歳から 49 歳までの合計
なのだが,厚労省では「出生数」と「女性人口」を日本国籍者で数えるため,
父=日本人,母=外国人,子=日本人
だと母が分母に入らないのに子は分子に入るので合計特殊出生率が上振れするのはどうなんだ,と報じられている。
確かにおかしいが,何が問題かと言えば
*国際比較できるように
*普通に統計として使えるように
の二つだろう。
まず,合計特殊出生率統計は国際比較に使うので,他国ではどう定義していることが多いのかを知りたい。いまざっとOECD, WHO, 世界銀行のページを見たが,定義の紹介のところではわからなかった。詳しくチェックする必要がある。
「日本経済」と人口という観点では,
・日本に居住する女性(外国人含む)が日本に居住する子(外国人含む)を産む率
を算出して欲しい。というか,そうしてくれないと日本経済と人口の関係を正しく論じられない。
もし「日本人の再生産」の度合いをみたいのだとしても,それはやはり厚労省の定義ではダメであって,
2)外国居住を含む日本人と,外国人居住を含む日本国籍をもつ子の比率
をとって適当な名称を付けるしかない。1)と2)の関係はGDP(国内総生産)とGNP(国民総生産)の違いに似ている。ただし,2)の数値は人口だけからは産出できず,在留邦人を含めて調査しなければならない。人口とは,日本国内に居住する人だからだ。また,「子を産む行為」と厳密な関係はなくなり,まったく社会的な再生産の指標となるから「女性が子を産む比率」と定義してはならない。冒頭で述べたように,父が日本人,母が外国人の場合があるからだ。
「合計特殊出生率 実態は公表値よりもっと低かった…専門家が「信じられない」統計手法とは」東京新聞TOKYO Web,2023年7月2日。
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