「基いて」は「強い拘束性」があると文部科学省から言われた覚えがあるものとして,一言いいたい。
学術会議の会員任命拒否の件。すでに法律の専門家が投稿されていることと思うが,法律や日本の国家機関の規則では「の指名に基づいて,任命する」というときに,その指名と違うことを勝手にして良いという解釈はあるのか。
日本学術会議法第七条第2項「会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」に依る限り,学術会議の推薦がある者を任命しないことや,推薦がない者を任命することは法的に問題になるのではないか。また,仮に推薦されたものを任命しなくてよいことがあるにしても,それはよほどの事態であるから,いったい何を根拠にどういう理由でそうしているのか説明しなければならないはずだ。菅内閣は本日まで,それを行っていない。
これ以上の詳細は法律家に任せるが,どうしても一言いいたかったのは,身に覚えのある話だからだ。2014年に学校教育法と国立大学法人法が改正された時に,国立大学の内部規則から「教授会の議に基づいて」という表現をなくせと文部科学省から指導が入った。その時の理屈として,「法律上「議に基づいて」とある場合には、強い拘束性を有するものと解されますので、「議を経て」以上に慎重な考慮が必要であると考えます」と言われたのだ(「学校教育法及び国立大学法人法等の改正に関するQ&A」2014年10月8日)。やむをえず当研究科でも規則を色々改正した。政府が,ある時は「議に基づいて」は強い拘束性を有するといって国立大学法人の学内規則にまで介入しながら,またある時は法律に「指名に基づいて」とあっても無視するというのでは,まるで一貫性がないと私には思える。
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