水田洋氏の訃報に接する。私は何しろ古典にたいする教養を欠いているので,水田氏の著作もほとんど読んでおらず,お恥ずかしい。唯一,読み通したのが古書店で見かけて買った『マルクス主義入門 この思想の流れを創造した人々』カッパブックス,1966年だが,これは実に面白かった。もちろん,学説の内容としては今では乗り越えられているところもあるだろうが,感心したのは思想史としての書き方であった。マルクスだけが,レーニンだけが真理だ,他の連中はだめだみたいな決めつけが全くなく,むしろ,マルクス主義者たちがどのような問題に突き当たり,それを解決するために何を主張し,どうしたか,その問題は後続の人々にどう受け継がれたかという風に書いてあるので,読者自身が課題に向き合い,追体験しながら読める。例えばレーニン,ルクセンブルク,トロツキー,スターリン,ブハーリンのいずれについてもそのように書いてある。ある意味で客観的で公平であり,しかし正確な意味で実践的な記述なのであったのだと思う。いや,もちろん本当は近代的個人と社会主義についてもっと深く読み取らねばならないのであろうが,教養が足りずに申し訳ない。
川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。
フォロワー
登録:
コメントの投稿 (Atom)
クリーブランド・クリフス社の一部の製鉄所は,「邪悪な日本」の投資がなければ存在または存続できなかった
クリーブランド・クリフスのローレンコ・ゴンカルベスCEOの発言が報じられている。 「中国は悪だ。中国は恐ろしい。しかし、日本はもっと悪い。日本は中国に対してダンピング(不当廉売)や過剰生産の方法を教えた」 「日本よ、気をつけろ。あなたたちは自分が何者か理解していない。1945年...
-
『ウルトラマンタロウ』の最終回が放映されてから,今年で50年となる。この最終回には不思議なところがあり,それは第1話とも対応していると私は思っている。それは,第1話でも最終回でも,東光太郎とウルトラの母は描かれているが,光太郎と別人格としてのウルトラマンタロウは登場しないこと...
-
文部科学省が公表した2022年度学校基本調査(速報値)によれば,2022年度に大学院博士課程に在籍する学生数は7万5267人で,2年連続で減少したとのこと。減少数は28人に過ぎないのだが,学部は6722人,修士課程は3696人増えたのと対比すると,やはり博士課程の不人気は目立...
-
1 問題の所在:マルクス派信用貨幣論とMMTが対話する必要性 私は,現代の貨幣のほとんどを信用貨幣,すなわち流通する債務証書として説明する立場である。この立場は,近年台頭している現代貨幣理論(MMT)も唱えるところである。ただし,私の立脚点は,貨幣と金融システムについては,日本...


0 件のコメント:
コメントを投稿