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2019年10月15日火曜日

派遣事業者と職業紹介事業者の労働立法への参画について

 労働分野の立法の検討は政労使または公労使の三者構成だが,労働市場の需給調整機能に関する審議は,派遣事業者または職業紹介事業者を含む四者構成であるべきだとする中村 天江氏の意見が公表された。

 ここまで労働者派遣事業や民営職業紹介事業が定着した今,傾聴に値すると思う。

 労働者派遣事業や民営職業紹介事業に対する政策が,長らく規制し,制限するという趣旨であったのは,歴史的経過から中間搾取が懸念されていたからであるが,実は企業内労働市場と,学校が職業紹介に関与するしくみによって,労働力需給調節機能が担われていたからでもある。中間搾取の懸念は今なおあるが,企業内労働市場と学校による職業紹介機能は徐々に弱体化しており,いまさら労働者派遣や民営職業紹介なしでやっていくことはできない。となれば,課題は業界の発展を抑えることではなく,現代化することだろう。

 実際,中村氏が紹介している派遣労働者の同一労働同一賃金について,当初,派遣先での類似職務に就く直接雇用労働者との同一性だけが当たり前のように議論されていたのを,労働市場の相場をもとにした派遣元での,派遣先の個別性にとらわれない同一性という基準も盛り込んだ例は重要だ。後者は派遣事業者の観点だ。つまり,よく機能する派遣事業というのは,企業横断的な同一労働同一賃金を促進するものなのである。

 労働者派遣事業をブラック職場にしてはならない。しかし,派遣事業の拡大を阻止し,縮小させようとすることはもはや非現実的であり,誤りでもある。その存在を認め,現代化を促し,労働市場の専門的担い手として活動できるようにすることが,政策の基本視点であるべきだろう。

中村天江「労働市場政策100年目のターニングポイント―「三者構成原則」のままでよいのか?」リクルートワークス研究所,2019年10月11日。

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