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2019年4月29日月曜日

思想犯って……いま本当に平成?まもなく令和?それとも昭和前半にもどった?

 おいおい,日本国憲法下でも,思想が犯罪とされるようになったのか。いまは昭和の前半なのか。治安維持法とか、思想犯保護観察法とかが今でもあると思っているのか、警視庁捜査関係者とやら。何も突っ込まないのか、朝日新聞社の記者。

週刊朝日「悠仁さまの机に刃物、思想犯を重点捜査  内部事情に詳しい者の犯行か?」AERA.dot,2019年4月27日。



2019年4月23日火曜日

「ジョブ型」通年採用は「仕事に即した処遇」と「年齢不問」を意味することは認識されているか:「採用と大学教育の未来に関する産学協議会の中間とりまとめと提言」を検討するにあたって

 経団連と,就職問題懇談会座長,国大協会長や私大連会長などがつくる「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が中間とりまとめと共同提言を発表した。全体として,前向きに検討すべき点を多く含んでいるが,現時点でどのメディアも報道していない,「もしかして忘れてない?大丈夫?」という点が二つあるので,まずそれだけ大急ぎで述べておきたい。

1.「ジョブ型採用」の意味
 「今後の採用とインターシップあり方に関する分科会」の中間とりまとめは,「ジョブ型採用」を「新卒,既卒を問わず専門スキルを重視した通年での採用,また留学生や海外留学経験者の採用」としている。

 やや,ずれている。

 「ジョブ」型採用とは,技能=skillでなく,job=職務を指定した採用だ。つまりは,範囲はいろいろあるとしても,やるべき仕事を指定した採用だ。やるべき仕事を指定しているから,それに必要な専門スキルによって選考するのだ。それがわかっているならいいのだが,どこにもそう書かれていないので,不安を覚える。
 スキルを指定して採用したあげく,どの仕事に就けるかは白紙で会社が決めて,協調性と努力主義を評価しながら年功的に処遇するという,今までと同じ方式ではどうしようもない。
 普通に考えれば,ジョブ型で採用すれば,ジョブ型で処遇するのが整合的だ。すなわち,1)ジョブ=職務のグレードと職務の成果に対応した給与とし,2)ジョブが変わらない限り昇進や配置転換や転勤はなく,3)ジョブが存在してそれを当該労働者が正常に遂行できる限り雇用され続けるが,4)ジョブが消滅する場合は解雇される。現在,日本企業の大半では,そのような人事管理を正社員に対して行っていない(非正規には,差別的低賃金で,かつ3)を除いて適用している)。ジョブ型の処遇に踏み込むつもりはあるのだろうか,ないのだろうか。

2.「ジョブ型採用」は年齢差別禁止
 中間とりまとめも共同提言も,「新卒,既卒を問わず」とは書いているものの,基本的に大学生や,大学を卒業してまもない者しか念頭に置いていない文章になっている。

 大丈夫か。

 多くの人が普段忘れているが,わが日本には雇用対策法により採用の年齢制限禁止が規定されている。「ハードな重労働!高齢者には到底無理! 40歳以下で募集します」も「若者向けの洋服の販売スタッフなので30歳以下で募集しても問題ないよね?」も「社長が40歳、その他のスタッフも皆30代以下。業務上指導しづらいし、中高年齢者は浮いてしまうので、30代以下しかとれない!」も「PC操作や夜間業務もたくさんスキルや体力面で、高齢者は不安なので若い人を募集」も,採用条件に年齢を入れたら最後,すべて違法なのである(「その募集・採用。年齢にこだわっていませんか?」厚生労働省リーフレット)。

 ただ,「長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合」は,1)対象者の職業経験について不問とすること,2)新卒者以外の者について、新卒者と同等の処遇にすることを条件として例外的に許されているのだ。だから,「20○○年3月大学卒業見込みの者」に限った新規学卒採用が行えるのだ。

 「ジョブ型採用」を行った場合,この例外規定は適用されるだろうか。まともに考えれば,されないと思う。職務に対応した「専門スキル」を基準に採用し,通年で採用し,新卒,既卒は関係ないとする以上,年齢を制限できないと見るのが理屈だろう。「ジョブ型採用だけど若年層に限ってくれ」というのでは,理屈が立たず,中高年男女から差別だという訴訟が頻発するだろう。

 とすると,「ジョブ型採用」の場合,新卒者は,少し年齢が上の既卒者のみならず,数多くの,あらゆる年齢の,転職・中途採用希望者と,専門スキルで競争しなければならないのだ。

 それが良いとか悪いとか言っているのではない。制度の整合性を保とうとすれば,そうならざるを得ないのだ。

 経団連側は,またもっと心配なのは大学側は,さらにそれ以上に心配なのは報道しているマスメディアは,上記2点を分かったうえで「ジョブ型採用」の拡大について論じているのだろうか。心配である。

 皮肉でなく,この一文が杞憂であって,まともに議論が深まることを希望する。

採用と大学教育の未来に関する産学協議会「採用と大学教育の未来に関する産学協議会 中間とりまとめと共同提言」(2019年4月22日))経団連ウェブサイト。

<関連投稿>
「経団連の「就活ルール」廃止と「提案」をどう受け止めるか」Ka-Bataブログ,2019年2月22日。
「「事務職になりたい」は過去へのあこがれだが「転勤がないように働きたい」は未来への要求だ」Ka-Bataブログ,2018年11月6日。
「就活ルール廃止後に求められる改革の基本方向」Ka-Bataブログ,2018年10月11日。

2019年4月20日土曜日

株主にふさわしくないのにETFを買い続ける日本銀行

 2019年4月16日,黒田日銀総裁は国会で共産党の宮本議員に対して,「ETF(Ka注:指数連動型上場投資信託)買い入れは株価安定の目標を実現するために必要な措置の一つとして自らの判断で実施している」と発言。直後に「ETFの買い入れは物価安定の目標を実現するための措置として行っているものであり、株価の安定の目標ということではない。先ほどちょっと発言の誤りがあったので訂正する」と述べた。

 いや,まちがいではなく本音がポロリであろう。一応点検しておくと,日銀がETFを購入する公式の理由は,リスクプレミアム,以前の黒田総裁の説明によると「株のように変動するものと確定利付き債券のように変動しないものとのリターンの差」を低下させるためのものだ。公平のために言っておけば始まったのは2010年であり,白川総裁の頃だ。これで株式市場を活性化させ,景気を良くして物価を上げようというのだ。何のことはない。やっぱり株価を上げたいのではないか。

 現実にも,いまや日銀はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に次ぐ日本第2位の株主である。これほど大量に買い続ければ株価の安定・下支え・押し上げ作用があるのは自明であり,他の投資家が作用を期待するのも自明である。

 そして,そこまでやっているにもかかわらず,成果は芳しくない。以前の投稿「公的資金による2頭のクジラが株価を支えきれなくなる時」で示したグラフが示すように,アベノミクス開始時点では外国人投資家が期待をもって日本株を購入したが,いまでは売り越しに転じている。そして,個人株主は安倍内閣発足後,一貫して売り越しである。外国人も個人も日本株を評価せずに売り越していて,それを日銀とGPIFが買い支えているという構図ではないか。そこに無理はないのか。

 GPIFは受託者責任を持っているからまだいい。利益を上げるべき存在であり,損失が出たら追求されるべきだからだ。しかし,日銀は,運用益を目的にしてETFを買っているのでもないし,議決権を行使するわけでもない(議決権は信託銀行など,ETF組成会社が行使する)。つまり利益を出す気はない。しかし,株価が下がっても困る。誰かに受託者責任を負っているわけでもない。わけのわからない,どうふるまうべきかも決まっておらず,誰に責任を取るのかわからない株主である。株主としては不適切と言わねばならない。それが,株価を支える,日の丸の旗がついた二頭のクジラのうちの一頭なのである。

日高正裕「日銀総裁、ETF購入「株価安定のため」と言い間違え-直ちに訂正」Bloomberg, 2019年4月16日。

「公的資金による2頭のクジラが株価を支えきれなくなる時」Ka-Bataブログ,2019年2月5日。

2019年4月19日金曜日

日本語能力試験N4を基準に「特定技能」外国人労働者を受け入れるのは無茶だ

 外国人労働者受け入れ政策について,入管法改正成立以後,他の仕事に追われて詳しく調べられなくなった。なので,一つだけ,あまり言われていないことを言いたい。

 「特定技能」の在留資格を取り,日本で技能労働(ブルーカラー労働)をしようとする外国人労働者に対して,日本語能力を,「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」しか求めないのは適切だろうか。

 この問題は,様々な立場のいずれからも提起されていないように見える(あるいは介護の現場からは提起されているかもしれない)。

 大学で学生を教えている私の経験から言えば,N4では,様々な場面で,たとえ双方に悪意がなくてもミスコミュニケーションは避けがたい。そして,相手に悪意があれば,抵抗することは難しい。当人がわかる言語での説明が付されていない限り,行政的な手続きも自分だけではできない。そして,雇い主や行政窓口や顧客とのトラブルに見舞われた時に,日本語で交渉することも困難だと思う。

 外国人を適切に受け入れ,かつその生活と権利を守りやすくするために,要件はN4ではなく,N3 にすべきではないだろうか。

 外国人とのトラブルを恐れて受け入れに消極的な立場からの論評は,「外国人全般」に否定的であるためにこの問題を具体的にみていない。逆に,外国人の人権を尊重する立場からは,受け入れを制限する方向の発言をしたくないという心性が働くのか,やはりこの問題に触れることが少ない。

 しかし,いったん受け入れた外国人の人権を守るためには支援制度を構築して運用すべきだが,そもそも,対処しきれないような規模と語学能力水準の人を受け入れてしまっては,現実的困難が大きくなりすぎる。受け入れる要件や速度,規模について考えることは,排外主義でもなんでもない。現に大学では留学生相手に行っていることだ。

 このままでは,多数の労使トラブルが発生する。その中には,本当に労使どちらかが法や就業規則に違反している場合もあれば,双方の誤解やすれ違いからくるものもあるだろう。大学でもそれに類似したことが多数生じている。N1を持つ大学院生との関係においてすら,生じる。

 経験的な感触からの設定で申し訳ないが,N4は無茶だと思う。N3にすべきではないか。あまり引き上げると,応募できる外国人が少なくなってしまい,漢字圏以外の人が応募できなくなるが,N3ならばその弊害は少ないと思う。そもそもこれまでのところ,N5やN4よりN3の方が受験者が多いのだ(日本語能力試験公式サイトのデータより)。

 皆さんは,いかがお考えでしょうか。

2019年4月17日水曜日

研究活動の停滞は大学院教育の停滞も招く

文部科学省科学技術・学術政策研究所の調査に対する国立大学関係者の回答。

1.「(研究活動の停滞が)教員が持つ最先端の知識の陳腐化を招き、教育・指導の質の低下につながっている」85%(「どちらかというとそうである」を含む)
2.「(授業料や国からの運営費交付金でまかなう)基盤的経費のみでは学生が卒業・修士・博士論文を執筆するための研究を実施することが困難」78%(同上)

 まったくそのとおりと私も感じる。学部生と院生では多少異なるが,院生の場合は特にはっきりしている。これを理解するポイントは,院生の教育の根幹は,院生の研究を支援するところにあるということだ。
 1はシンプルな話で,教員の研究水準が低くなれば,その教員に論文を読んでもらってコメントをもらう院生の水準もおおむね低下する。2も深刻であって,院生に独自の研究費というのはない大学がほとんどだ。教員が使う講座費や,部局・大学の共通ユーティリティ(図書館とかネット環境とか)だけでは院生の研究を支援することはできず,院生がよほどの大金持ちでない限り身動きならなくなる。
 具体的に言おう。私のゼミでは,院生の研究支援に資金が必要なのは以下のような場合だが,いずれも私の手元の講座費では全くまかなえない。文系と言えどカネはかかるのだ。

*院生の実態調査の旅費(国内も国外もあり)。実態調査に基づく事例研究を主とするゼミであるため,これが一番大きい。
*院生が学会発表する際の参加旅費
*院生が研究に使用するデータ資料の購入(シンクタンク,調査会社発行の高価なもの)や高額書籍の購入費
*院生に刺激を与える著名・関連分野研究者をセミナーに招聘する旅費・謝金
*院生が投稿する際の英文校閲費や投稿料

 これらの費用は,以下の諸手段でまかなうことになる。言うまでもないがコンプライアンス前提であって,国や大学の規則に反する裏金などつくることはできない。

a)教員と重なるテーマであれば,院生を科研費の研究協力者にする。あるいは院生も構成員に出来る外部資金での研究プロジェクトに参加する。そうすると科研費から調査旅費や成果発表旅費や英文校閲費を支出できる。
b)教員と重なるテーマであれば,教員が学内や学外の競争的資金を獲得して研究プロジェクトに参加し,国内外から研究者を招聘するセミナーを開催し,院生もそれに参加する。
c)教員が科研費やその他の外部資金を多く獲得して研究し,その分だけ浮いた講座費で院生の研究を支援する。
d)院生が学術振興会特別研究員(DC1,DC2)に応募する。
e)留学生の院生が,日本政府国費研究生の国内募集枠に応募する。
f)院生が代表者になって応募できる民間の研究助成金に応募する。
g)院生・若手研究者を海外に派遣する諸制度に応募する。
h)院生の学会参加を支援する諸制度に応募する。

 このうちa)b)c)は教員の研究が停滞するとお金が獲得できなくなるので,院生の教育も連動して停滞する。また教員の研究が停滞すると,おそらくはd)の採択可能性も低まる。そして,大学の研究全体が停滞すると,おそらくはf)g)h)も獲得しにくくなるのだ。

「研究活動の停滞、教育への影響8割が危機感 国立大  文科省研究所が意識調査」2019年4月12日。

2019年4月13日土曜日

東京福祉大学問題から見える,歯止めなきトップダウンのダメさ加減

 東京福祉大学による研究生としての留学生大量受け入れは,元総長の中島恒雄氏の指示によるものであったという告発があった。

 中島氏は2008年1月に強制わいせつ罪で逮捕され,実刑判決も受けた。以後,東京福祉大学は中島氏が「本学の経営や教育に関与することはない」とホームページで約束した。しかし,実際には大いにかかわっていたことになる。

 実はこのことは以前より,誰あろう,文部科学省大学設置・学校法人審議会によって公式に指摘されていた。東京福祉大学は2012年度より経営学部,大学院経営学研究科を開設すべく文科省に設置申請を提出したが,「元理事長を法人運営に関与させてきていることや、本設置認可申請後に及んで学校法人として不適切な管理運営が行われていたことが確認された」として,設置「不可」の認定を受けたのだ(「」内は判定不可の理由を記した文書より)。

 田嶋元教授は,中島氏が指示を出していた証拠として20011年9月の会議音声を公開したそうだが,これは文科省に設置申請をしていた時期と一致する。

 田嶋元教授もかなり過酷な目に遭われたようだ。東京福祉大学は,まず2012年3月末で教授を雇い止めると通知して,裁判で無効とされた。3年前に卒業した院生へのセクハラ・パワハラを理由に懲戒解雇し,それも1審,2審で敗訴して和解し,謝罪して原職復帰を認めることになった。しかし,さらなる嫌がらせ,雇用契約の不利益変更を迫り,労働審判でそれが否定されると今度は訴訟に移行したようだ。田嶋教授は2018年3月31日に定年退職された。

 田嶋氏に対して,自分が嫌がらせに遭ったから意趣返して告発しているのだろう云々というコメントがネットを飛び交うかもしれないので言っておく。文科省も裁判所も異常な経営を認定しており,どうみても東京福祉大学の方がおかしい。

 いま,大学のガバナンスが取りざたされているが,たいていの場合,「教授会が頑迷で何も決められないからトップダウンにしろ」という方向で議論がなされるのはどうしたことか。むちゃくちゃな行為が行われるのは,たいてい,トップダウンが行き過ぎた場合であり,それに歯止めをかけるしくみが欠如している場合であることは言っておきたい。

「留学生大量失踪の東京福祉大、元教授が緊急会見。元総長が「120億のカネが入るわけだよ」と会議で発言。金儲けのために留学生受け入れか」ハーバー・ビジネス・オンライン,2019年4月10日。

平成24年度開設予定大学院等一覧(判定を「不可」とするもの)

平成24年度開設予定学部等一覧(判定を「不可」とするもの)

「東京福祉大学事件」田嶋心理教育相談室。

「東京福祉大学事件」交通ユニオン。

2019年4月10日水曜日

ベトナムは業績不良の国有企業に対処できるか?:TISCOの経営危機

 ベトナムの国有鉄鋼企業TISCO(タイグェン・アイアン・アンド・スチール)が株主に送った手紙によれば,同社は「もし政府,銀行その他の機関によって救済されなければ倒産に至り得る財務危機に直面している」。VnExpress Internationalの記事によると自己資本比率は18%,債務1.94兆ドン(8360万ドル)のうち不良債務が8520億ドン(3670万ドル)。同社はうち46%は正常化可能というが,たとえ本当でも自己資本不足と54%は残る。記事にもある通り,TISCOの財務危機の原因は2007年に開始された2期工事の延滞・未完成と費用膨張である。建設中だった高炉などの設備は雨ざらしになっている。

 これは,私が1年半前にRIETIのペーパーで論じたTISCOの問題が,まったく解決に向かっていないことを意味する。

 TISCOは,もともと国有の公社であったVNスチールが65%を保有していた連結子会社であった。その経営危機は2014年には表面化しており,いったんは国家資本投資会社が1兆ドン(4310満ドル)の資本を注入して救済したものの,その後,財務省の指示によってこの株式をVNスチールに買い戻させてしまった。2017年第2四半期にはすでに自己資本比率が19%に落ちていた。

 ペーパーを書いた後にわかったことは,VNスチールはTISCOの債務保証者であるということ,商工省が国有企業の不良債務について公的資金を投じないという方針をとっていたことだ。VNスチールにも債務を肩代わりする力はない。しかし,政府も公的資金は注入しない。買収する気のあった民間企業にしても,そのような負担はご免であろう。そして,銀行が債権棒引きに応じる気配もない。それでは,誰がどのようにTISCOを破たん処理and/or再建し,その過程で誰がどのように損失を被るのか。誰も火中の栗を拾わないままにずるずると状態が悪化している。

 ことはTISCOだけにとどまらないのではないか。記事はTISCOをベトナム最大の鉄鋼企業の一つと書いているが,その生産規模はせいぜい鋼材100万トンであり,すでに外資企業のフォルモサ・ハティン・スチール(FHS)や民営企業のホア・ファット・グループ(HPG)に追い抜かれている。もしベトナム政府が,100万トンクラスの国有鉄鋼企業の破たん処理をうまくできないのであれば,他にも数ある国有企業の改革・再編・民営化・破たん処理・再建・清算の成否についても,大きな疑問符が付くだろう。

Anh Minh, Vietnam state steel company faces bankruptcy, VnExpress International, April 8, 2019.

川端望(2017)「ベトナム国有鉄鋼企業の衰退とリストラクチャリング」RIETI Discussion Paper Series, 17-J-066, pp.1-41.



『ウルトラマンタロウ』第1話と最終回の謎

  『ウルトラマンタロウ』の最終回が放映されてから,今年で50年となる。この最終回には不思議なところがあり,それは第1話とも対応していると私は思っている。それは,第1話でも最終回でも,東光太郎とウルトラの母は描かれているが,光太郎と別人格としてのウルトラマンタロウは登場しないこと...