フォロワー

2023年10月20日金曜日

グリーンスチール競争における日本鉄鋼メーカーの技術経路(英語論文の日本語原稿を公開)

 論文「グリーンスチール競争における日本鉄鋼メーカーの技術経路」をThe Japanese Political Economy誌に発表いたしました。日本語原稿を以下で公開していますので、ご利用ください。

https://www2.econ.tohoku.ac.jp/~kawabata/paper/GreensteelAMJapanese.pdf


要旨

本稿は,日本の鉄鋼メーカーが環境に配慮した鉄鋼生産,すなわちグリーンスチールを追求するために選択した技術経路を検証した。この経路は、国際エネルギー機関(IEA),日本政府,公的機関,経済団体,鉄鋼メーカーの文書を分析することによって特定される。分析結果は,高炉・塩基性酸素転炉(BF-BOF)技術を利用する日本の銑鋼一貫メーカーは,グリーンスチールのための技術開発と設備投資で遅れをとっていることを示している。これらの企業は,自社の固定資本の価値や,高級鉄鋼メーカーとしての評判を維持するために,CO2排出量の多い高炉技術に固執してきた。その結果,CO2排出量の少ない電気炉(EAF)方式への移行が遅れ,またゼロエミッションが期待できる水素直接還元法の開発で遅れを取っている。しかし,パリ協定や日本政府によるカーボンニュートラル宣言によって,こうした姿勢の見直しが迫られている。このケースは,環境の政治経済学の理論や,大企業の新技術に対する保守的なアプローチに関する理論が,グリーンテクノロジーの出現の時代にも通用することを物語っている。

 正式の英語版は以下でダウンロードできます(オープンアクセス)

Nozomu Kawabata, Evaluating the Technology path of Japanese Steelmakers in Green Steel Competition, The Japanese Political Economy.
https://doi.org/10.1080/2329194X.2023.2258162



0 件のコメント:

コメントを投稿

『アジア経営研究』第30-1号発行

 『アジア経営研究』第30-1号が発行されました。拙稿「ベトナム鉄鋼業の発展初期における日系中堅電炉企業の役割―ビナ・キョウエイ・スチール社成立過程の研究―」も掲載されています。11月くらいにはJ-Stageで無償公開されるはずです。  『アジア経営研究』はアジア経営学会が発行す...