Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2022年4月29日金曜日

内生的通貨供給の機能と公共貨幣論批判:下田直能氏の反論に接して

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  公共貨幣論に対する私の 批判 に対して, 『お金は銀行が創っているの?』 の著者である下田直能氏から 反論 を賜った(※1)。丁寧なご対応に感謝したい。下田氏の反論は,貨幣流通に関する核心に触れるものであり,拙論との違いを掘り下げていくことにより,重要な論点の解明につながるこ...
2022年4月28日木曜日

公共貨幣論に対する見解まとめ:下田直能『お金は銀行が創っているの?』同時代社,2022年を踏まえて

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  下田直能『お金は銀行が創っているの?』同時代社,2022年 。信用創造廃止=公共貨幣論の3冊目だが,言うべきことは,これまで読んだ2冊に対してとほとんど変わらない(※1)。著者は山口薫氏の主宰する公共貨幣フォーラムの理事であり,その主張はおおむね『公共貨幣入門』と同じである。...
2022年4月27日水曜日

砲火の背後で企業は政治的選択を迫られ,貿易と投資が縮小していく

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  ロイターによれば ,中国のドローン大手DJIは,ロシア・ウクライナ事業を一時停止したと発表した。「危害を与えるため当社のドローンが使われることを好まない。戦闘に使われることがないようこれらの国で販売を一時停止する」とのこと。しかし, 高口康太氏の記事 からすると,その背景には...
2022年4月21日木曜日

アゾフスターリ製鉄所とは

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 ウクライナのマリウポリに位置するアゾフスターリ製鉄所のスペック。いまは人命が何より大事であるが,それだけに製鉄所がもともとどのようなものであったか気にする人も少ないだろう。鉄鋼オタクの任務としてこの製鉄所を保有する METINVEST社の英文サイト から整理しておく。スペックは...
2022年4月18日月曜日

財政政策論:財政赤字は後の世代に負担を負わせるものではない

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  「財政赤字は今の世代が需要増大の利益を享受して,債務返済の負担を後の世代に負担を負わせるものだ」という議論への反論動画。やや解説が足りない点が残ったかもしれないので補足しながら述べる。  そもそも財政赤字は完済すべきものではない。赤字であるべき時は赤字に,黒字になるべき時は黒...
2022年4月12日火曜日

リカード・バローの中立命題に対する全面否定論としてのMMT

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 財政政策の有効性その3。この講義では,リカード・バローの中立命題に対する全面否定論としてMMTを位置付けた。またそれは講義する私の立場としては,マルクス経済学の信用貨幣論,ケインズのある種の解釈,MMTの信用貨幣論の一致するところでもあるとしている。  MMTがなぜ中立命題全面...
2022年4月11日月曜日

松尾匡・井上智洋・高橋真矢『資本主義から脱却せよ 貨幣を人びとの手に取り戻す』の信用創造廃止論:やはり「気持ちはわかるが,無理だ」と思う

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 松尾匡・井上智洋・高橋真矢『資本主義から脱却せよ 貨幣を人びとの手に取り戻す』光文社,2021年。松尾氏と井上氏は信用創造廃止・政府通貨論者らしいと聞いて興味を持ち,読んでみたのだが,その主張が飲みこめなかった。本書には多様な主張が含まれているが,ここでは信用創造廃止論,信用貨...
2022年4月9日土曜日

累進課税の強化としての負の所得税を:ベーシック・インカムと社会保障の「あれか,これか」の話とは別に

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 『東京新聞』2022年4月6日付の 「『これが福祉なのか...』困窮者への特例貸付で破産連絡700件超 コロナ禍で大量申請、支援現場に葛藤」 という記事を読んで。   生活困窮対策として緊急対策を改善することも必要であるが,恒常的な対策が必要だ。私は,所得税の累進課税を拡充し,...
2022年4月5日火曜日

財政政策論。リカード・バローの中立命題が完全には成り立たないという見解。まあ,そりゃそうだとしか

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 財政政策の有効性(2)。実際の財政政策を事実上支配する見解。つまり「リカード・バローの中立命題」を究極の理論としては否定しないが,厳密に成り立つことはないとした場合についての検討。  現に多くの国が長期にわたって財政赤字を出している時に,「納税者は,やがて赤字をゼロにするための...
2022年4月4日月曜日

日本の賃金が上がらず消費が低迷する原因は,企業がもうかっていないからではない:加谷珪一氏の記事について

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 加谷珪一氏は,Newsweek4月1日付に寄稿された 「日本だけ給料が上がらない謎...『内部留保』でも『デフレ』でもない本当の元凶」 において,「日本企業は何らかの原因で十分に利益を上げられない状況が続いており、これが低賃金と消費低迷の原因になっていると推察される」と指摘され...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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