Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2025年5月28日水曜日

木村幹『国立大学教授のお仕事--とある部局長のホンネ』筑摩書房,2025年を称賛する

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 自分の日常をそのまま本で読むというのは,めったにない体験である。書かれていることがほぼ100%理解できる。自分が書いたのだろうかと錯覚するほどである。だが,よく考えると違う。もし私が書けば,だらだらと5倍ほどの量で,およそひとさまの目に触れさせることができないような内容となって...
2025年5月19日月曜日

博士課程に留学生の割合が高いのは,単に日本が「博士冷遇社会」だからである

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 博士課程で留学生の割合が高いのはけしからんという議論が,一部から流されている。しかし,これは外国勢力の陰謀でもなければ,大学経営陣が外国におもねっているからでもない。単に日本が「博士冷遇社会」だからなのである。  これについて冷泉彰彦氏が 「博士課程の奨学金受給者の約4割が留学...
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2025年5月13日火曜日

劉慈欣(大森望,光吉さくら,ワン・チャイ訳)『時間移民 劉慈欣短編集Ⅱ』早川書房,2024年を読んで

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 劉慈欣(大森望,光吉さくら,ワン・チャイ訳)『時間移民 劉慈欣短編集Ⅱ』早川書房,2024年。Ⅰの『円』を文庫で読んだので,何となくⅡも文庫かと思い込んで冊子体を注文したら四六判だった。  劉慈欣の作品はどれもこれもスケール観が圧倒的だ。しかし,舞台装置だけで話を運んでいるわけ...
2025年5月5日月曜日

ホールセール型中央銀行デジタル通貨(CBDC)はデジタル札束だった

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 中央銀行デジタル通貨(CBDC)について,これまでどうしてもわからなかった謎が解けたように思う。何種類かの実証実験がなされている「ホールセール型CBDCを使って国際決済を行う」という試みは,貨幣論的にどういう仕組みになっているのかということだ。  これまで私は,リテール型CBD...
2025年4月23日水曜日

なぜ中央銀行は通貨価値の安定を保とうとするのか:管理通貨制における最終決済手段としての中央銀行マネー

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 トランプ大統領はFRBの独立性などお構いなしに金利引き下げを要求し,議長の解任の可能性にまで言及している。景気が冷えそうなのは自らのでたらめな高関税のせいなのに,責任転嫁も甚だしい。絶対自分が悪いとは認めたくないのだろう。  ところで,中央銀行にはなぜ独立性が必要とされるのだろ...
2025年4月21日月曜日

改善活動は,時間外の小集団活動を主力とするのでもないし,管理職や職長抜きに現場だけでやるものでもない

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「現場の知恵」で作業標準を無視した作業方法を勝手に実行したら大問題になるという記事が, 『日経XTECH』に掲載されていた。 2ページ目以後有料記事で失礼。  当たり前のようだが,実は重要な含意を持っている。  適切な改善方法は,もちろん,正式の提案による作業標準の書き換えである...
2025年4月11日金曜日

安孫子麟著作集全2巻『日本地主制の構造と展開』『日本地主制と近代村落』(八朔社,2024年)を読んで

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 全然本が読めない状況であるが,何とか安孫子麟著作集全2巻(八朔社,2024年)を読了した。安孫子説をどう受け止めるかは,いずれ落ち着いて考えてみたい。ここでは第1巻と第2巻の違いについて覚書を記しておくにとどめる。  第1巻『日本地主制の構造と展開』に収録されている論文が示すよ...
2025年4月3日木曜日

自由・無差別・多角の終わりとしてのトランプ関税

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  日本メディアでは,トランプの差別的関税率が日本にとってどうなのかを重点的に取り上げている。確かに差別的関税率は特定の国の産業に打撃を与える効果はあるし,またそれでも可能なアメリカへの輸出については輸出国の変化や輸出品目の変化を促し,輸出国の相対的な地位を変動させる。その中でど...
2025年3月25日火曜日

ゼミ誌『研究調査シリーズ』No. 43,2024年度修士論文・卒業論文特集号によせて

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  本号に収録するのは,2025年3月に大学院前期課程を修了する宋海倫さんの修士論文,同じく学部ゼミを卒業する朝倉悠希さん,鈴木義人さん,今本陽大さん,青木俊憲さん,上原景さん,大村雄基さん,奥野瑛紘さん,折原大介さん,菊永大夢さん,髙橋航平さんの卒業論文です。朝倉さんの論文は,...
2025年3月22日土曜日

Jordan, K. H., Jaramillo, P., Karplus, V. J., Adams, P. J., & Muller, N. Z. (2025). The Role of Hydrogen in Decarbonizing US Iron and Steel Production. Environmental Science & Technologyを読んで

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 Jordan, K. H., Jaramillo, P., Karplus, V. J., Adams, P. J., & Muller, N. Z. (2025). The Role of Hydrogen in Decarbonizing US Iron and S...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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