Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2019年7月26日金曜日

採用改革は人事改革,雇用政策改革,大学改革へと連動する

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 採用改革について。企業が特定の能力をもった人材を必要とするならば,採用する職種や職務を特定し,その上で,必要な能力について専門試験を行って「就職」させるしかない。その場合,能力さえあれば新卒かどうかは関係ない。この当たり前と思われることが,日本の慣行とは大きく異なる。現状の新規...
2019年7月20日土曜日

MMTを主張するS.ケルトン氏と,小林慶一郎氏,早川英男氏,小黒一正氏の懐疑的コメント

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  MMTを主張するS.ケルトン氏と,小林慶一郎氏,早川英男氏,小黒一正氏の懐疑的コメント。 ちょうど先日,小黒氏と早川氏の見解にコメントしたばかりだが,この記事を読んでも修正の必要はない。小黒氏について今回注目されるのは,MMTがケインズ派だとすなおに解釈していることだ。私もそ...
2019年7月16日火曜日

きっとやってくる未来:河合雅司『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』

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 河合雅司さんの本は,人口が減っていまよりずっと高齢化した日本に暮らす,老いた自分というものを想像させてくれるという点では,とても実感の湧く本だ。20XX年に,まだ自分は生きているだろうか。心と体はちゃんと動くだろうか。仕事はまだやっているだろうか。年金は,買い物は,葬式は。そう...

ファーウェイP30 Proの部品コスト内訳に思う,日本電子部品産業の立ち位置

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6月27日の『日経』紙版に掲載されていたファーウェイP30 Proの部品コスト内訳が ネット公開 されていた。現代の機械・電機産業はきめの細かい工程間の国際的分業・協業を前提に成り立っている。これを破壊すれば,その影響が極めて広い範囲に及ぶ。  ところで,日本の電機産業の比較優...
2019年7月13日土曜日

深く好意的に,深く批判的に:平川均「赤松要と名古屋高等商業学校 : 雁行形態論の誕生とその展開に関する一試論」

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 私は,理論的な方面については,講義で紹介とコメントはできるが自分で論文を書くほどではないという水準をうろうろしている。しかし,一度は論じてみたいと思っているテーマもいくつかあり,そのひとつが雁行形態論だ。雁行形態論は,そのまま現実の描写とするには単純すぎるが,産業発展の基本モデ...
2019年7月9日火曜日

最大の課題は財政膨張のコントロール:早川英男氏のMMT批判に寄せて

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 元日本銀行理事,現在は富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェローである 早川英男氏のMMT評価 。MMTの3つの柱を①信用貨幣論(credit theory of money)に基づく信用創造の理解、②ラーナー流の機能的財政論(functional finance)による財政...
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2019年7月7日日曜日

MMTと常識的な経済学とでは,ゼロ金利下において金融政策と財政政策の役割が入れ替わる

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 MMT(現代貨幣理論)は,どうも常識的なマクロ経済学とただ「違う」だけでなく,特定の条件の下で,「金融政策と財政政策の役割をそっくり入れ替えて理解している」ように見える。なぜ,こうなるのだろうか。最終的なMMTの正否や,当面の政治的立場とは別に,理論の問題として考えておかねばな...
2 件のコメント:
2019年7月3日水曜日

MMTの評価には,規範論でなく経済分析からの批判が必要

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  小黒一正氏のMMT批判 。これは,昔のケインズ政策に対する「ハーヴェイロードの前提」批判であり,公共選択論による批判である。私は,規範論としてこの指摘は一理あると予感する。MMTは統合政府の財政が赤字で政府債務があることは当然とした上で(赤字にしないと日銀券=統合政府の手形も...
3 件のコメント:
2019年6月25日火曜日

細野祐二『会計と犯罪 郵便不正から日産ゴーン事件まで』の特捜検察批判

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 就寝前と仕事の合間を使っただけなのだが,2日間で読み終えた。こう言っては何だが,岩波書店には珍しい,ミステリーのように引き込まれて,すらすらと読める本だ。  著者のこれまでの本と異なり,粉飾決算事件の分析ではない。中心となるのは郵便不正事件とそれに続く,村木厚子氏が起訴され...
2019年6月21日金曜日

『キングコング:髑髏島の巨神』:ベトナムから遠く離れられない兵士たち

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 アマゾンビデオで『キングコング 髑髏島の巨神』をアマゾンで視ました。ただいま公開中の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』と同一世界という設定です。時は1973年。諜報組織モナークは,ベトナムから這う這うの体で撤退中のアメリカ軍に護衛してもらいつつ,地球観測衛星ランドサット(1...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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