河合雅司さんの本は,人口が減っていまよりずっと高齢化した日本に暮らす,老いた自分というものを想像させてくれるという点では,とても実感の湧く本だ。20XX年に,まだ自分は生きているだろうか。心と体はちゃんと動くだろうか。仕事はまだやっているだろうか。年金は,買い物は,葬式は。そういうことを思わせてくれるのだ。専門的な人口論の見地からは言うべきことが色々あると思うが,読者の想像力を喚起するという点ではとても優れた本だと思う。あまり明るいものにはならないかもしれないが,きっとやってくる未来に向き合う以外に道はない。
なお,河合さんは『産経』の元記者で,ついつい職場で身についたクセなのか「これは占領軍の深遠な企みではあるまいか」的な話も本によっては入っている。だが,『未来の年表』と『未来の地図帳』にはそういうことはないのでお勧めできる。
河合雅司(2019)『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』講談社。
昨年書いた『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』のレビュー
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