Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2025年4月23日水曜日

なぜ中央銀行は通貨価値の安定を保とうとするのか:管理通貨制における最終決済手段としての中央銀行マネー

›
 トランプ大統領はFRBの独立性などお構いなしに金利引き下げを要求し,議長の解任の可能性にまで言及している。景気が冷えそうなのは自らのでたらめな高関税のせいなのに,責任転嫁も甚だしい。絶対自分が悪いとは認めたくないのだろう。  ところで,中央銀行にはなぜ独立性が必要とされるのだろ...
2025年4月21日月曜日

改善活動は,時間外の小集団活動を主力とするのでもないし,管理職や職長抜きに現場だけでやるものでもない

›
「現場の知恵」で作業標準を無視した作業方法を勝手に実行したら大問題になるという記事が, 『日経XTECH』に掲載されていた。 2ページ目以後有料記事で失礼。  当たり前のようだが,実は重要な含意を持っている。  適切な改善方法は,もちろん,正式の提案による作業標準の書き換えである...
2025年4月11日金曜日

安孫子麟著作集全2巻『日本地主制の構造と展開』『日本地主制と近代村落』(八朔社,2024年)を読んで

›
 全然本が読めない状況であるが,何とか安孫子麟著作集全2巻(八朔社,2024年)を読了した。安孫子説をどう受け止めるかは,いずれ落ち着いて考えてみたい。ここでは第1巻と第2巻の違いについて覚書を記しておくにとどめる。  第1巻『日本地主制の構造と展開』に収録されている論文が示すよ...
2025年4月3日木曜日

自由・無差別・多角の終わりとしてのトランプ関税

›
  日本メディアでは,トランプの差別的関税率が日本にとってどうなのかを重点的に取り上げている。確かに差別的関税率は特定の国の産業に打撃を与える効果はあるし,またそれでも可能なアメリカへの輸出については輸出国の変化や輸出品目の変化を促し,輸出国の相対的な地位を変動させる。その中でど...
2025年3月25日火曜日

ゼミ誌『研究調査シリーズ』No. 43,2024年度修士論文・卒業論文特集号によせて

›
  本号に収録するのは,2025年3月に大学院前期課程を修了する宋海倫さんの修士論文,同じく学部ゼミを卒業する朝倉悠希さん,鈴木義人さん,今本陽大さん,青木俊憲さん,上原景さん,大村雄基さん,奥野瑛紘さん,折原大介さん,菊永大夢さん,髙橋航平さんの卒業論文です。朝倉さんの論文は,...
2025年3月22日土曜日

Jordan, K. H., Jaramillo, P., Karplus, V. J., Adams, P. J., & Muller, N. Z. (2025). The Role of Hydrogen in Decarbonizing US Iron and Steel Production. Environmental Science & Technologyを読んで

›
 Jordan, K. H., Jaramillo, P., Karplus, V. J., Adams, P. J., & Muller, N. Z. (2025). The Role of Hydrogen in Decarbonizing US Iron and S...
2025年3月7日金曜日

「通貨供給システムとしての金融システム ―信用貨幣論の徹底による考察―」完成版が研究年報『経済学』第81巻に掲載されました

›
  論文「通貨供給システムとしての金融システム ―信用貨幣論の徹底による考察―」が研究年報『経済学』第81巻に掲載されました。  学説史的には二つのことを言っています。 *戦前から活躍していたマルクス経済学者である岡橋保の信用貨幣論は実は正しかった。近年唱えられている諸々の信用貨...
2025年2月27日木曜日

「公正な移行」はできるか?タタ・スチールはイギリスで高炉を廃止し,電炉を設置する

›
 タタ・スチールはイギリスのポートタルボットに高炉2基を備えた一貫製鉄所を保有していたが,業績悪化により9月に最後の高炉を閉鎖した。この設備閉鎖をめぐっては地域経済の旧サイト雇用をめぐる激しい議論が交わされた末に,高炉・転炉に代わって電炉を設置する計画が提案され,このほど計画委員...
2025年2月7日金曜日

ユニバーサルでニュートラルな中央銀行デジタル通貨(CBDC)の抱えるジレンマ

›
 NRIの石川純子氏が,「若年層はCBDCに経済的メリット、高齢者層はユニバーサルアクセスを求める」と指摘している 。これは重要な点であるため,私なりに少し敷衍したい。言いたいことは,「CBDC(中央銀行デジタル通貨)はユニバーサルでニュートラルでなければならない。しかし新決済手...
2025年1月22日水曜日

映画『敵』は老人だけの話でも男性だけの話でもなく,誰にでも起こることを描いている

›
 映画『敵』を見た。一見,現実が崩壊して妄想と混濁していくような話であるが,実は冒頭の整った暮らしからすべて主人公・儀助の夢と妄想であり,したがい何も混濁していないと解釈したい。妻に先立たれた男性退職教授が整った食事を作れるわ,部屋がこぎれいで本がそこらじゅうちらかってないし埃っ...
‹
›
ホーム
ウェブ バージョンを表示

自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
詳細プロフィールを表示
Powered by Blogger.