Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2025年3月7日金曜日

「通貨供給システムとしての金融システム ―信用貨幣論の徹底による考察―」完成版が研究年報『経済学』第81巻に掲載されました

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  論文「通貨供給システムとしての金融システム ―信用貨幣論の徹底による考察―」が研究年報『経済学』第81巻に掲載されました。  学説史的には二つのことを言っています。 *戦前から活躍していたマルクス経済学者である岡橋保の信用貨幣論は実は正しかった。近年唱えられている諸々の信用貨...
2025年2月27日木曜日

「公正な移行」はできるか?タタ・スチールはイギリスで高炉を廃止し,電炉を設置する

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 タタ・スチールはイギリスのポートタルボットに高炉2基を備えた一貫製鉄所を保有していたが,業績悪化により9月に最後の高炉を閉鎖した。この設備閉鎖をめぐっては地域経済の旧サイト雇用をめぐる激しい議論が交わされた末に,高炉・転炉に代わって電炉を設置する計画が提案され,このほど計画委員...
2025年2月7日金曜日

ユニバーサルでニュートラルな中央銀行デジタル通貨(CBDC)の抱えるジレンマ

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 NRIの石川純子氏が,「若年層はCBDCに経済的メリット、高齢者層はユニバーサルアクセスを求める」と指摘している 。これは重要な点であるため,私なりに少し敷衍したい。言いたいことは,「CBDC(中央銀行デジタル通貨)はユニバーサルでニュートラルでなければならない。しかし新決済手...
2025年1月22日水曜日

映画『敵』は老人だけの話でも男性だけの話でもなく,誰にでも起こることを描いている

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 映画『敵』を見た。一見,現実が崩壊して妄想と混濁していくような話であるが,実は冒頭の整った暮らしからすべて主人公・儀助の夢と妄想であり,したがい何も混濁していないと解釈したい。妻に先立たれた男性退職教授が整った食事を作れるわ,部屋がこぎれいで本がそこらじゅうちらかってないし埃っ...
2025年1月14日火曜日

クリーブランド・クリフス社の一部の製鉄所は,「邪悪な日本」の投資がなければ存在または存続できなかった

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 クリーブランド・クリフスのローレンコ・ゴンカルベスCEOの発言が報じられている。 「中国は悪だ。中国は恐ろしい。しかし、日本はもっと悪い。日本は中国に対してダンピング(不当廉売)や過剰生産の方法を教えた」 「日本よ、気をつけろ。あなたたちは自分が何者か理解していない。1945年...
2025年1月7日火曜日

「物価変動分類論:インフレ,デフレ,遊休,バブルと金融・財政政策」ディスカッション・ペーパー版公開にあたって

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 「物価変動分類論:インフレ,デフレ,遊休,バブルと金融・財政政策」をTERG Discussion Paper 492として発表しました。このブログでも書き連ねてきた内容ですが,考察を重ねて修正し,先行研究との対話を加えて学説的位置を明確にしました。researchmapから ...
2025年1月5日日曜日

バイデン米大統領による,日本製鉄のUSスチール買収計画中止命令に接して

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  1月3日,バイデン米大統領は,日本製鉄によるUSスチール買収計画に対して中止命令を発した。その全文日本語訳は 『日本経済新聞』サイト で無料で読める。日本製鉄は対米外国投資委員会(CFIUS)の手続きに瑕疵ありとして提訴する意向であるが,中止命令そのものを覆すことは難しい。こ...
2 件のコメント:
2024年12月30日月曜日

Carliss Y. Baldwin, Design Rules, Vol. 2: How Technology Shapes Organizations, The MIT Press, 2024(カーリス・Y・ボールドウィン『デザイン・ルール 第2巻 技術はどのように組織を作り上げるか』)の破壊力

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 ついにCarliss Y. Baldwin, Design Rules, Vol. 2: How Technology Shapes OrganizationsがThe MIT Pressより発売された。冊子体が日本に届くまで1か月かかるので,私はKindle版を購入した。SS...
2024年12月14日土曜日

大藪龍介『検証 日本の社会主義思想・運動1』社会評論社,2024年を読んで

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 大藪龍介『検証 日本の社会主義思想・運動1』社会評論社,2024年。構成は「Ⅰ 山川イズム 日本におけるマルクス主義創成の苦闘」「Ⅱ 向坂逸郎の理論と実践 その功罪」である。  本書は失礼ながら完成度が高い本とは言いにくい。出版社の校閲機能が弱いのであろうが,校正ミス,とくに脱...
2024年11月25日月曜日

財政赤字に伴う国債発行をどのように把握するか:「二層の銀行・政府」モデルの提示

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 1.切り口としての「財政赤字と金利上昇圧力」  先に「財政赤字に伴う国債発行はクラウディング・アウト効果を持つか」,より原理的には「財政赤字に伴う国債発行は金利上昇圧力を発生させるか」という問題についての拙論を修正することを表明し,ブログにも掲載した(※1)。これは実は,金融・...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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