Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2025年1月22日水曜日

映画『敵』は老人だけの話でも男性だけの話でもなく,誰にでも起こることを描いている

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 映画『敵』を見た。一見,現実が崩壊して妄想と混濁していくような話であるが,実は冒頭の整った暮らしからすべて主人公・儀助の夢と妄想であり,したがい何も混濁していないと解釈したい。妻に先立たれた男性退職教授が整った食事を作れるわ,部屋がこぎれいで本がそこらじゅうちらかってないし埃っ...
2025年1月14日火曜日

クリーブランド・クリフス社の一部の製鉄所は,「邪悪な日本」の投資がなければ存在または存続できなかった

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 クリーブランド・クリフスのローレンコ・ゴンカルベスCEOの発言が報じられている。 「中国は悪だ。中国は恐ろしい。しかし、日本はもっと悪い。日本は中国に対してダンピング(不当廉売)や過剰生産の方法を教えた」 「日本よ、気をつけろ。あなたたちは自分が何者か理解していない。1945年...
2025年1月7日火曜日

「物価変動分類論:インフレ,デフレ,遊休,バブルと金融・財政政策」ディスカッション・ペーパー版公開にあたって

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 「物価変動分類論:インフレ,デフレ,遊休,バブルと金融・財政政策」をTERG Discussion Paper 492として発表しました。このブログでも書き連ねてきた内容ですが,考察を重ねて修正し,先行研究との対話を加えて学説的位置を明確にしました。researchmapから ...
2025年1月5日日曜日

バイデン米大統領による,日本製鉄のUSスチール買収計画中止命令に接して

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  1月3日,バイデン米大統領は,日本製鉄によるUSスチール買収計画に対して中止命令を発した。その全文日本語訳は 『日本経済新聞』サイト で無料で読める。日本製鉄は対米外国投資委員会(CFIUS)の手続きに瑕疵ありとして提訴する意向であるが,中止命令そのものを覆すことは難しい。こ...
2 件のコメント:
2024年12月30日月曜日

Carliss Y. Baldwin, Design Rules, Vol. 2: How Technology Shapes Organizations, The MIT Press, 2024(カーリス・Y・ボールドウィン『デザイン・ルール 第2巻 技術はどのように組織を作り上げるか』)の破壊力

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 ついにCarliss Y. Baldwin, Design Rules, Vol. 2: How Technology Shapes OrganizationsがThe MIT Pressより発売された。冊子体が日本に届くまで1か月かかるので,私はKindle版を購入した。SS...
2024年12月14日土曜日

大藪龍介『検証 日本の社会主義思想・運動1』社会評論社,2024年を読んで

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 大藪龍介『検証 日本の社会主義思想・運動1』社会評論社,2024年。構成は「Ⅰ 山川イズム 日本におけるマルクス主義創成の苦闘」「Ⅱ 向坂逸郎の理論と実践 その功罪」である。  本書は失礼ながら完成度が高い本とは言いにくい。出版社の校閲機能が弱いのであろうが,校正ミス,とくに脱...
2024年11月25日月曜日

財政赤字に伴う国債発行をどのように把握するか:「二層の銀行・政府」モデルの提示

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 1.切り口としての「財政赤字と金利上昇圧力」  先に「財政赤字に伴う国債発行はクラウディング・アウト効果を持つか」,より原理的には「財政赤字に伴う国債発行は金利上昇圧力を発生させるか」という問題についての拙論を修正することを表明し,ブログにも掲載した(※1)。これは実は,金融・...
2024年11月23日土曜日

「カネのクラウディング・アウト」再考:超過準備の存在という条件

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  従来,私は赤字財政に伴う国債発行は,カネのクラウディング・アウト(金融市場ひっ迫による金利高騰)は起こさず,モノとヒトのクラウディング・アウト(財・サービス・人材の供給ひっ迫とインフレ)は起こすという見地を採ってきた。これは現代貨幣理論(MMT)と同じ見解である。しかし,「一...
2024年11月8日金曜日

ジェームズ・バーナム『経営者革命』は,なぜトランピズムの思想的背景として復権したのか

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 2024年アメリカ大統領選挙におけるトランプの当選が確実となった。アメリカの目前の政治情勢についてあれこれと短いスパンで考えることは,私の力を超えている。政治経済学の見地から考えるべきは,「トランピズムの背後にジェームズ・バーナムの経営者革命論がある」ということだろう。  会田...
2024年11月3日日曜日

『少年忍者部隊月光』における戦争

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  私はまもなく60歳で,特撮ドラマと言えば『ウルトラマン』『ウルトラセブン』を再放送で,『帰ってきたウルトラマン』や『仮面ライダー』をオリジナル放映で見た世代です。現代ではほぼ老人会に属しますが,それでも,『忍者部隊月光』(1964-66年放映)は伝説的存在でした。いまでこそ『...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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