Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2024年7月31日水曜日

貨幣分類論(その3。通用根拠分類)

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 Ⅰ はじめに Ⅱ 外形的分類 (以上, その1 )  Ⅲ 本質分類 Ⅳ 形態分類と物的定在分類 (以上, その2 ) V 通用根拠分類  ここでは,貨幣が貨幣として通用する根拠に即した分類について検討する。 a.商品貨幣  商品貨幣の通用根拠は商品であることそのもの,もう少...
2024年7月30日火曜日

貨幣分類論(その2。本質分類,形態分類と物的定在分類)

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Ⅰ はじめに Ⅱ 外形的分類 (以上, その1 )  III 本質分類  貨幣とは,ある社会においてすべての商品と等価とされる,特殊な役割を持った商品である。つまり,貨幣は本来,商品であって商品貨幣である。この貨幣の本質から言って,形態分類された種々の貨幣のうち,金属貨幣だけ...
2024年7月29日月曜日

貨幣分類論(その1。はじめに,外形的分類)

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 I はじめに  貨幣には様々な種類があり,またさまざまな性質がある。またある種の貨幣の全部または一部の性質を引き継いで別の貨幣が派生するといった系統も存在する。事物を性質や系統によって分けることが分類である。だから性質や系統についての考え方によって,様々な分類がありうること...
2024年7月22日月曜日

麻田雅文『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』中公新書,2024年を読んで

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 麻田雅文『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』中公新書,2024年を読んで。  本書を読んで認識を新たにしたのは,何よりも「日ソ戦争」という名称でくくられる一つの戦争があったということである。この戦争は,対中国の戦争とも対米英の戦争とも異なる性格のものであり,1945年8月15日を過...
2024年6月29日土曜日

Waiting for the publishing of C. Y. Baldwin, Design Rules, Volume 2. C. Y. ボールドウィン『デザイン・ルール』第2巻を待ちながら

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According to the MIT Press announcement, Carliss Y. Baldwin, Design Rules, Volume 2: How Technology Shapes Organizations, will be published ...
2024年6月12日水曜日

神戸製鋼の電炉転換構想をどう理解するか

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 神戸製鋼は 5月20日の中期経営計画説明会 で,今後加古川製鉄所の高炉2基体制を前提とせず,高炉1基,電炉1基の体制に移行していくことを検討していくと発表した。ただし質疑応答記録によれば高炉巻き替え時期は2030年代後半であり,移行は少し先の話となる。2050年の生産体制につい...
2024年6月7日金曜日

いまはなきダイエーの「1円金券」をめぐるTogetterまとめから貨幣論を考える

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 「その昔(昭和30年代)、当時神戸で急成長していたスーパーのダイエーが、あまりに客が来すぎて会計時の釣銭(1円玉)が用意できない事態となり、やむなく私製の「1円金券」を作って釣銭の代わりにお客に渡したところ、その金券が神戸市内で大量に流通しすぎて」云々というわけで,貨幣とは信用...
2024年6月4日火曜日

中央銀行デジタル通貨(CBDC)は現金と預金のトークン化であり,それらと異なる新種の貨幣を作り出すわけではない:国際決済銀行(BIS)年次経済報告を読む

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 昨年の国際決済銀行(BIS)年次経済報告第3章「 Blueprint for the future monetary system: improving the old, enabling the new 」(未来の貨幣システムの青写真:古いものを改善し,新しいものを可能にする...
2024年5月31日金曜日

日銀エコノミストの祖,深井英五の『通貨調節論』

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 4月から研究科長・学部長となり,産業資料を積み上げて事実関係をじっくり解読し,解釈していく作業ができなくなってしまった。しかたがないので,貨幣・信用論の読書だけ続ける。この深井英五『通貨調節論』日本評論社,1932年は,白川方明総裁時代までの日銀エコノミストによる内生的貨幣供給...
2024年5月25日土曜日

「なんの抗議も来ん!誰も読んどらんのだ!」:異端の信用貨幣論に反応はあるのか

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  古い話題で恐縮ですが,いしいひさいちのマンガに,作家・広岡達三ものというのがあります。元プロ野球選手・広岡達朗がモデルですが,とにかく偏屈で頑固で,それ故に墓穴を掘るところがあります。彼のセリフで私が一番好きなのは,危うい表現続出の小説を書いたあげく激怒して断筆を宣言するとき...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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