Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2024年1月30日火曜日

預金のMMFへのシフトとFRBによるMMF相手のリバースレポはどのように行われ,どのような効果を持つか

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 1.はじめに  アメリカでは2022年から銀行預金が縮小し,またそれ以前の2020年から公社債投資信託の一種であるMMFが急増している。MMFは高利回りで安全度の高い運用先を求めるが,それは現在では政府やFRBの発行する債務へと向かう。一方,コロナ後になってFRBはインフレを食...
2024年1月26日金曜日

MMF再考

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  これまで私は,証券金融がいくら進んでも銀行預金は減少しないと書いて来た。それはおおむね正しかった。例えば会社が銀行からお金を借りるのをやめ,借りていたのと同じ額を,社債を証券会社引き受け経由で発行して資金調達するようになっても,社会全体としては預金は減少しない。社債購入者-証...
2024年1月7日日曜日

村岡俊三氏の銀行信用論の検討:「信用創造=貸付先行」説と準備金論の見地から

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 1.課題と目的  本稿の課題は,前稿(※1)での考察を踏まえて,村岡俊三の銀行信用論を検討することである。その目的は,マルクス経済学における「銀行の出発点は蓄蔵貨幣または遊休貨幣である」という観点(以下,「蓄蔵・遊休貨幣出発説」と呼ぶ)に対し,十分な批判を行うことである。考察の...
2024年1月4日木曜日

銀行システムにおける準備金の必要性と役割:「信用貨幣=貸付先行」説からの考察

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 1.問題の所在  本稿は,銀行システム成立に当たっての準備金の必要性と役割について考察する。  銀行を経済学的に理解する上での立場は,大きく「現金の又貸しによる金融仲介」説と「信用貨幣の貸付による信用創造」説に分かれる。前者の方がイメージはしやすいものであり,一般社会でも研究者...
2023年12月25日月曜日

玉川寛治氏博士論文「日本における初期綿糸紡績技術の研究」審査結果の要旨について

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  さきに,玉川寛治氏の博士論文「日本における初期綿糸紡績技術の研究」が東北大学機関リポジトリTOURに掲載されました。しかし,審査結果の要旨は掲載されておりません。各方面に問い合わせたところ,審査報告書は1年に1度,まとめての掲載であることが判明しました。そのため,こちらで「論...
2023年12月22日金曜日

現代の金融の基本形は「現金の金融仲介」でなく「信用創造による預金貨幣創出」である

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 1.問題の所在  この小論の目的は,「現金の金融仲介が金融の基本形である」という常識に疑問を呈し,金融仲介と信用創造という二つの信用形態を正しく位置付けることである。結論を先取りすると,正貨流通の下では現金の金融仲介は,信用創造と並んで独自の役割を果たす。しかし,正貨流通の停止...
2023年12月20日水曜日

Nippon Steel's Acquisition of U.S. Steel: Voices from Past, Voices for Future

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Aims and Challenges of Nippon Steel's Acquisition of US Steel Voices from the Past, Voices for the Future Nozomu Kawabata (Professor, Gr...
2023年12月19日火曜日

日本製鉄によるUSスチール買収の狙いと課題:過去からの声,未来への声

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 日本製鉄はUSスチール(USS)買収を発表した。来年4月にUSSの株主総会が承認することが前提だ。買収総額は141億2600万ドル(2兆100億円)。USスチールの12/15株価に対して40%のプレミアムを支払う。借入金は日本の金融機関より。買収により日鉄のD/Eレシオは0.5...
2023年12月17日日曜日

貨幣発行と流通のしくみ(その9)おわりに

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 12 おわりに  まとめに入ります。この講演は,「お金はどこから来て,どこへ消えるのか」についてお話ししました。それを通して知って欲しかったことは二つです。  一つは,普段の生活では気がつきにくい,お金の本当の姿です。お話ししたことの中から列挙してみましょう。まず,現代社会...

貨幣発行と流通のしくみ(その8)金融システム以外にも通貨供給ルートはあるか

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 11 金融システム以外にも通貨供給ルートはあるか  ここまで私は,金融システムを通した通貨供給のことだけをお話ししてきました。預金貨幣は銀行が発行するものであり,中央銀行券は中央銀行が発行するものですから,もちろん,金融システムが本来の通貨供給ルートなのです。しかし,現代社...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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