Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2023年7月30日日曜日

泉弘志「国際価値の理論と国際産業連関表による各国剰余価値率の計測」『経済』2023年8月号,110-132を読んで

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 泉弘志「国際価値の理論と国際産業連関表による各国剰余価値率の計測」『経済』2023年8月号,110-132を読んで。  泉氏はマルクス経済学の言う剰余価値率を実証的に計測しようと,長年研究を続けて来られた研究者である。本稿は,国際貿易を導入した上で,剰余価値率の国際比較を行う理...
2023年7月25日火曜日

FedNowとデジタル通貨の関係:CBDCではない,デジタル通貨のもう一つの道

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 アメリカで,銀行間送金を即時実現するFedNowがスタートという報道があった。人生のほとんどを日本で過ごしているドメスティック人間には,最初,何を言っているのかわからなかったが,どうもアメリカでは異なる銀行同士の支払い決済が非常に遅いらしい。よく引かれる例では,労働者の給与が支...
2023年7月17日月曜日

裁判所は「パフォーマンス・ギャランティ」に加担してベンダー/サプライヤーを鞭打つべきではない

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 日本の系列・下請け取引,別名サプライヤー・システムにおいては,ユーザーが目的を達成する水準までサプライヤーが品質保証する「パフォーマンス・ギャランティ」が広く見られる。そのことの具体的立証は容易ではないのだが,ソフトウェア開発契約の世界では,紛争が訴訟になり,訴訟のドキュメント...
2023年7月8日土曜日

賃上げ定着か,三択ばくち打ちか:2023年後半の経済

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 日銀によれば,2023年1-3月期の需給ギャップはマイナス0.34%。つまり,まだ多少の需要不足である( ※1 )。  昨年の6月20日に私は,日銀は国債の「日銀が買い支えに失敗すれば不況であり,成功しても,せいぜい高中所得層だけの好況,スタグフレーション,バブルの三択ばくち打...
2023年7月6日木曜日

超過準備とは財政赤字累積と量的金融緩和の帰結であり,中銀当座預金への付利は,そのコストである:準備預金への付利に関する考察(3)

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 1.従来の考察への反省  私は以前に準備預金への付利に関する考察を2通の投稿によって行い(※ 1 , 2 ),以下のように結論した。「中銀当座預金への付利とは,中央銀行にとって,銀行に過剰準備保有を促すためのコストであり,それは結局は,ゼロ近傍以下の金利の下で金融政策を行うため...
2023年7月2日日曜日

ChatGPTとのシビアな会話例その4(GPT-4,2023/5/11)。ロボット三原則における「自分で自分を破壊せよ」という命令の取扱い

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 ChatGPTとのシビアな会話例その4(GPT-4,2023/5/11)。ロボット三原則における「自分で自分を破壊せよ」という命令の取扱い。面白いのだが,こちらが論理的に主張するとChatGPTが「その通りです」と迎合する傾向がある。もう少し選択肢のある話し方や隙のある話し方を...

合計特殊出生率の定義について

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 合計特殊出生率={母の年齢階級別出生数/年齢階級別女性人口}15 歳から 49 歳までの合計 なのだが,厚労省では「出生数」と「女性人口」を日本国籍者で数えるため, 父=日本人,母=外国人,子=日本人 だと母が分母に入らないのに子は分子に入るので合計特殊出生率が上振れするのはど...
2023年6月23日金曜日

現在の日本では,まず賃金を引き上げることが生産性向上につながる

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 日本経済に成長と分配,消費と投資の好循環を作り出す方策が様々に議論されている。その際,賃金上昇のためには,まず企業成長,まず投資が必要だという議論には注意しなければならない(※)。  長期的に見て,日本経済の生産性を向上させて成長の天井を上げ,生活を豊かにするための原資を作り出...
2023年6月19日月曜日

「不足経済」と「余剰経済」を同一平面上で扱う観点:コルナイ・ヤーノシュ『資本主義の本質について イノベーションと余剰経済』を読んで

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 コルナイ・ヤーノシュ(溝端佐登史ほか訳)『資本主義の本質について イノベーションと余剰経済』講談社学術文庫,2023年。2016年に単行本が出ていたのに気づかず,今になって読んだが,重大な収穫があった。  今回注目したのは第2部である。コルナイは,社会主義計画経済を「不足」の経...
2023年6月5日月曜日

東北の自動車部品産業を論じた「自動車部品産業集積の質的発展に向けて ―地場部品メーカー参入と成長への課題―」の原稿PDFを公開しました

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 震災復興研究として書いた論文をもう一つ,共著者との合意を得てアップしました。東北の自動車部品産業のデータは少し前の時期のものですが,話の基本方向は今も間違っていないと思います。共著者の千葉啓之助さんは経済学部の大先輩で,1961年卒・安井琢磨ゼミです。 川端望・千葉啓之助「自動...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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