Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2023年1月29日日曜日

「あそこに座ってない時は,死んだ時です」:三谷昇氏の訃報に接して

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 俳優の三谷昇氏が亡くなられた。読売新聞の報道では、『ウルトラマンタロウ』出演とタイトルに書いてくれている。そう,特撮オタクにとっては,三谷氏と言えば『ウルトラマンタロウ』である。もちろん他にも,『帰ってきたウルトラマン』第22話のピエロ,映画『宇宙からのメッセージ』のカメササ,...
2023年1月26日木曜日

アセアンにおける高炉一貫製鉄所建設とカーボン・ニュートラル

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  『日本経済新聞』の報道 によれば,フィリピンの鉄鋼・鉄筋加工メーカースチールアジアが,中国宝武鋼鉄集団と連携し,生産能力300万トンの高炉一貫製鉄所を建設することで合意した。投資額は1080億ペソ(約2600億円)。2000人の雇用創出効果があるとされる。おそらく元情報は 1...
2023年1月20日金曜日

なぜ,まず賃上げをしなければならないか。まず生産性を上げようという発想のどこがまずいのか

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 まず付加価値生産性を高めて賃金原資をつくり出して賃上げしよう,そのことに政策の重点を置こうという意見は根強い。 この記事で奥平寛子氏が述べる のも,その一つのバージョンだ。氏は言われる。「労働市場の流動化がすぐには進まないことを前提とすると、成長分野での資本蓄積やイノベーション...
2023年1月17日火曜日

債権債務の相殺は課税・納税に由来するか,手形取引に由来するか:クナップ『貨幣の国家理論』を読んで(2・完)

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   前稿 に続き,クナップ『貨幣の国家理論』を検討する。 <クナップは表券主義をもとに貨幣流通の根拠を論じているか>  クナップは貨幣とは表券的支払手段であり,法秩序の創出物であるとする。しかし,前稿で見たように,クナップが本書を通して証明したことは,価格標準は国家が制定するも...
2023年1月16日月曜日

価格標準の国家理論としてのクナップ説:クナップ『貨幣の国家理論』を読んで(1)

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  クナップ『貨幣の国家理論』を読み終わった。もっとも気になる点について,2回に分けて書き留めておきたい。 <クナップによる貨幣の規定>  クナップ説を一言で言えば,貨幣は表券的支払手段だということである。もう少し言えば,「価値単位であらわされる債務は,メダルでも紙片でもいいが,...
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2023年1月15日日曜日

松本清張『日本の黒い霧(上)(下)』は歴史的な書物として読むべき

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  NHKスペシャル未解決事件で帝銀事件が取り上げられたためか,松本清張『日本の黒い霧(上)(下)』の評判が上がっている。版元の文藝春秋社も文庫にNスペの帯を付けて売り出しているようだ。  しかし,『日本の黒い霧』の中には,その後の研究・調査の積み重ねで覆されている箇所も少なくな...
2023年1月11日水曜日

忍者っ娘萌えか,ネタ切れか:光瀬龍著・大橋博之編『光瀬龍ジュヴナイルSF未収録作品集』書肆盛林堂,2021年からの発見

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 光瀬龍著・大橋博之編『光瀬龍ジュヴナイルSF未収録作品集』書肆盛林堂,2021年。以前にとりあげた 『光瀬龍 SF作家の曳航』ラピュータ,2009年 と対になる本だが,ISBNなしの直販品なので,ごく最近まで気づかなかった。  単行本未収録作品14点が収められているが,最初の3...
2023年1月6日金曜日

黒木亮『兜町の男:清水一行と日本経済の80年』毎日新聞出版,2022年を読んで

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  黒木亮『兜町の男:清水一行と日本経済の80年』毎日新聞出版,2022年。経済小説家・清水一行の生涯を描くノンフィクションである。清水氏は,今では2世代位前の経済小説家というところだろうか。学生時代に,指導教官の金田重喜教授が,世の中は欲望と怨念で成り立っていると知ることができ...
2023年1月3日火曜日

萩尾望都(原作:光瀬龍)『百億の昼と千億の夜』完全版,河出書房新社,2022年を読む

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  萩尾望都(原作:光瀬龍)『百億の昼と千億の夜』完全版,河出書房新社,2022年。 新装版だの豪華特典付き××版だのは基本的に買わないのだが,これは例外中の例外で購入した。エッセイやインタビューが付け加えられているからだ。  私は,この作品について以前から知りたいことがあった。...
2022年12月31日土曜日

タイパって,企業はむかしからやっていることですよね

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 タイパ。学生に感想を求められたらこう答えよう。  「タイパ?タイムパフォーマンスですか。個人が自由に行動を選択できる消費場面では,それぞれ好きにすればいいんじゃないですか。楽しそうですね。ただし,忘れてはいけないのは,企業は産業革命以来,企業にとってのタイムパフォーマンスを徹底...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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