Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2022年11月27日日曜日

21世紀日本における軍事費の紆余曲折:山田朗氏作成の表を読む

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  山田朗「自衛隊はどう変わりつつあるのか」 『経済』2022年12月号 が45ページに「日本の軍事費(1995-2022年)」と言う表を掲げている。これを見て、21世紀日本の軍事費が意外な動きをしていることに気が付いた。そして、現在の「GDP2%」という自民党の軍事費拡張路線が...
2022年11月19日土曜日

超過準備維持・金融緩和・国債消化:準備預金への付利に関する考察(2)

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1.問題の所在   前稿 では,金利を引き上げると,日銀から日銀当座預金への利払いが増え,場合によっては赤字や債務超過もありうること,日銀は債務超過になっても円建てである限りデフォルトを起こすことはなく営業を継続できるが,信用秩序維持能力の喪失を疑われることはありうること,債務超...
2022年11月16日水曜日

日銀の業績が悪化するとどのような問題が起こるか:準備預金への付利に関する考察(1)

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 1.「金融緩和の出口」における日銀の業績悪化とはどういうことか  2022年現在,日本以外の先進諸国はインフレ抑制を掲げて金利を引き上げつつある。金融緩和を継続する日本銀行についても,出口戦略の在り方が問われている。かねてより日本銀行については,利上げを行うと日銀の業績が悪化し...
2022年11月3日木曜日

手形交換所や紙の手形がなくなっても,現代の金融システムは手形原理に依拠している:MMTとの見解の相違にも触れて

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1.手形交換所の交換業務終了と決済の今後  11月2日, 全国の手形交換所が交換業務を終了した 。4日以降は電子交換所が稼働するとのことだが,これはいわば「つなぎ」的存在だ。というのは,紙の手形をスキャンして,スキャンデータで交換業務を行うだけのものだからだ。経産省は, 約束手形...
2022年11月1日火曜日

2つのブロックへの世界の分裂は,経済をどれほど落ち込ませるか:IMFの警告

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 IMF, Regional Economic Outlook for Asia and Pacific , October 2022(アジア太平洋地域経済見通し,2022年10月), Chapter 3 Asia and the Growing Risk of Geoecono...
2022年10月30日日曜日

雇用慣行の改革なしには,リスキリング推奨も不発に終わる:エンプロイヤビリティの二の舞にならないために

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 リスキリングと言われている問題は,以前,具体的には90年代末から2000年代初頭にはエンプロイヤビリティと言われていた。スキルを学んで再就職できるようにしろというのは同じである。装いを変えて,せいぜい「副業促進」を付け加えているだけである。もちろん,職業能力開発の取り組みを広げ...
2022年10月28日金曜日

預金をすることは貨幣流通にどのような作用を及ぼすか:覚書

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1.現金が預金されると,貨幣が流通から外に出たことになるだろうか。  1.1 まず本位貨幣,例えば金貨が流通している場合。   1.1.1 ならない。なぜならマネーストックは減少していないから。1万円の金貨が銀行に預金された場合,マネーストックから現金1万円が減り,預金通貨1万円...
2022年10月27日木曜日

博士論文Naoki Sekiguchi, Catch-Up of the Steel Industry in Non-OECD Countries in the 21st Century: Developments in Steel Trade and the Role of Technology(21世紀における非OECD諸国鉄鋼業のキャッチアップ:鉄鋼貿易の発展と技術の役割)の公開によせて

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  3月に博士(経済学)の学位を取得して後期課程を修了したゼミ生,関口直樹さんの博士論文が東北大学機関リポジトリTOURで公表されました。この博士論文は,関口さんがこれまでMineral Economics誌で発表された3本の論文をもとにしていますが,一つの博士論文としてまとめる...
2022年10月24日月曜日

アメリカの金利引き上げが度を過ぎれば世界の脅威に:ドル高円安の背後で進行している本当の危機

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日本では円安を嘆く声が広がっている。目の前の苦痛を嘆くのは当然だが,その背後でより深刻な事態が進行していることを看過してはならない。ここでは,以下のことを述べたい。 1.ドル高円安の原因は日米の金利差それ自体ではない 2.ドル高円安には日本側の要因とアメリカ側の要因がある 3.ア...
2022年10月20日木曜日

金融危機のリスクと政策的ジレンマに直面する世界経済

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 IMF「国際金融安定性報告書」(2022年10月版) 要旨より(日本語公式テキスト。明らかな誤字のみ修正)。 「国際金融環境は今年,著しく引き締まり,これを受けマクロ経済のファンダメンタルズが弱い新興市場国やフロンティア市場国の多くで資本流出が見られる。経済・地政学的な不確実性...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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