Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2022年9月28日水曜日

欧米と日本ではインフレ対策はどちらが難しいか。日本にはどのようなインフレ対策が必要か

›
 2022年9月現在,西欧諸国・アメリカと日本は,いずれもインフレーション対策に追われている。しかし,インフレの性質は異なっており,したがって必要な対策も,その難易度も異なっているように見える。欧米と日本では,どちらのインフレ対策の方が難しいだろうか。私には,おおむね欧米の方が難...
2022年9月27日火曜日

超金融緩和が日本経済に引き起こした矛盾

›
  円安下のコスト・プッシュ・インフレのもとで,日本銀行は超金融緩和の継続を宣言している( ※1 )。ここでは,超金融緩和が継続されたことによって日本経済がどのような影響を蒙っているかを,やや長期的な視点から考えたい。とくに「矛盾」という切り口を重視したい。超金融緩和からの出口に...
2022年9月19日月曜日

ロシアへの輸出規制とロシアからの輸入規制の違いについて

›
  ロシアに対する経済制裁のうち,各国からロシアへの輸出(ロシアの輸入)に対する規制と,各国のロシアからの輸入(ロシアの輸出)に対する規制を同次元で論じる議論が多いが,経済学的にはこの二つは作用が異なる。適切に区分し,また両者の相互作用を考えるべきではないだろうか。  まず,経済...
2022年9月8日木曜日

続・マルクス派信用貨幣論とMMTの対比:信用貨幣の流通根拠は手形が債権債務の相殺機能を持つことか,それとも納税に使える国定貨幣であることか

›
 先日 「マルクス派信用貨幣論とMMT:その一致点と相違点について」 というノートを書き,MMT(現代貨幣理論)が貨幣流通の根拠は国定貨幣説(表券主義)で,現代の金融システムの説明は信用貨幣説で説明する二元論を取っていることを記した。その時は,どうしてそのような二元論を取るのかが...
2022年9月5日月曜日

「金融引き締めによるインフレ抑制」で何が起こっており,何が犠牲にされているのか

›
 1.はじめに  2022年現在,アメリカのFRBを先頭に,欧米の中央銀行は「インフレを鎮静化させるために金融を引き締めて」いる。日本銀行がその例外とされる。本稿の目的は,この金融引き締めがもたらす効果について理論的可能性を考察し,そこからこの政策を論じる上で必要な観点を見出すこ...
2022年9月3日土曜日

大学教員になろうとする文系博士課程院生の苦悩:訓練には5年必要だが資金援助は3年という問題

›
  文部科学省が公表した2022年度学校基本調査(速報値)によれば,2022年度に大学院博士課程に在籍する学生数は7万5267人で,2年連続で減少したとのこと。減少数は28人に過ぎないのだが,学部は6722人,修士課程は3696人増えたのと対比すると,やはり博士課程の不人気は目立...
2022年8月31日水曜日

『アジア経営研究』第28号と『ベトナムの味』

›
 『アジア経営研究』第28号が届きました。当ゼミの修了生Nguyen Kim Ngan グエン・キム・ガンさんの論文”Issues in international manufacturer-supplier relationship: A multi-case study of...
2022年8月28日日曜日

JFEスチールが西日本製鉄所倉敷地区で高炉1基を停止し大型電炉を増設するという報道に接して

›
 JFEスチールが西日本製鉄所倉敷地区の高炉1基を2028年前後に停止し,あわせて大型電炉を建設するという報道。日本製鉄に3年遅れを取ったが,ついに決断したか。事実だとよいが(9/1 JFEスチールはカーボンニュートラル戦略説明会を開催し,この報道が事実であることを裏付けた。) ...
2022年8月23日火曜日

預金貨幣の内生的供給と外生的供給:岡橋保『インフレーションの経済理論ーー預金貨幣インフレーションの研究』世界文化社,1948年の先駆的意義

›
  岡橋保『インフレーションの経済理論ーー預金貨幣インフレーションの研究』は,戦後直後の日本におけるインフレーションを,貨幣理論によって把握しようとした労作である。本書は1948年発行であり,紙質も印刷状態もよくないものであって,今日どれほど残存しているのかが懸念される。しかし,...
2022年8月17日水曜日

マルクス派信用貨幣論とMMT:その一致点と相違点について

›
1 問題の所在:マルクス派信用貨幣論とMMTが対話する必要性  私は,現代の貨幣のほとんどを信用貨幣,すなわち流通する債務証書として説明する立場である。この立場は,近年台頭している現代貨幣理論(MMT)も唱えるところである。ただし,私の立脚点は,貨幣と金融システムについては,日本...
‹
›
ホーム
ウェブ バージョンを表示

自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
詳細プロフィールを表示
Powered by Blogger.