Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2021年2月25日木曜日

「私営」でも「国有」でもない「共有企業」という改革案:張春霖「企業所有制の伝統的概念を改める必要について」を読んで

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 張春霖「企業所有制の伝統的概念を改める必要について」『財新』2021年2月19日。  正しく読めたかどうか自信はないが(→留学生に確認したら大丈夫とのこと),著者はおおむね以下のように主張している。  中国における「公有」「非公有」の二分法は単純に過ぎるので,三分法にすべきであ...
2021年2月24日水曜日

吉田暁『決済システムと銀行・中央銀行』日本経済評論社,2002年を読んで。

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 吉田暁『決済システムと銀行・中央銀行』日本経済評論社,2002年。吉川方人様のご厚意により入手して読むことができた。私が内生的貨幣供給論をあれこれ模索してたどり着いた見地は,貨幣・信用・銀行の一般理論の次元では,故・吉田暁教授の見解とほぼ同じであったことが確認できた。もっと早く...
2021年2月21日日曜日

「中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する日本銀行の取り組み方針」を読んで:預金減少が起こす問題は信用創造の制限でなく銀行間競争の激化

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 日銀は,2021年春に中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験を行うとのこと。中国やスウェーデンはすでに実証実験に入っており,カンボジアとバハマではすでに運用が始まっている。今後の動向が注目されるので,日銀が2020年10月に発表した「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取...
2021年2月19日金曜日

経済が成長するときに,流通に必要な通貨はどのように供給されるのか

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 現代の管理通貨制のもとで経済が成長するときに,流通に必要な通貨はどのように供給されるのだろうか。ここには,一見矛盾する二つのもっともらしいストーリーが存在する。この二つは実は両立するのだが,両立の論理は我々の直感と必ずしも一致しないし,経済学の様々な学派の常識とも必ずしも一致し...
2021年2月16日火曜日

日経平均株価終値3万円越えの報道に接して:金融緩和の深掘りは止め,財政支出で生活支援を

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  2月15日の東京株式市場で,日経平均株価は終値で3万円を超え,30年6か月ぶりの高値になったとのこと。  株価がつり上がっているのは,金融緩和の副作用である。しかし,庶民にはほとんど良いことはなく,景気全体は停滞している。内閣府の『月例経済報告』によっても「景気は、新型コロナ...
2021年2月14日日曜日

地震後も無事でおります

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  2月13日に仙台市青葉区の自宅及び大学は震度5強の地震に見舞われました。自宅はほぼ無事で,現在本や書類が散乱して棚が歪んだ研究室の修復中です。ご心配くださった皆様に御礼を申し上げます。
2021年2月10日水曜日

「休業手当」とそれが受け取れない労働者への「休業支援金・給付金」という方式について

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 現在国会では,これまで中小企業の労働者のみを対象としていた休業支援金・給付金を大企業の非正規労働者に拡大する件が議論されている。緊急措置としてこの拡大を行い,支給時期もできる限りさかのぼる方がよいと思う。しかし,この問題の背後には,かなり根の深い問題があることも考えておかねばな...
2021年2月2日火曜日

現代の通貨システムとは「返済されない債務」が流通する世界のこと

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  現代の通貨システムには,多くの人の直感に反するものがある。そう言って悪ければ,普段イメージしているものが適切でなく,別のイメージに取り替えねばならないところがある。その最たるものが,通貨システムを,金貨や銀貨のような価値ある本位貨幣か,あるいは国家が強制通用力を付与したものが...
2021年2月1日月曜日

銀行はキーストロークで通貨を創造できるが,政府はそうではない:過度な「統合政府」論に反対する

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 私は管理通貨制下の通貨を信用貨幣と理解する点でMMTに賛同するし,この 「政府は好きなだけお金を刷っていいの? だとしたら、なぜ税金は必要なの?」 という記事でケルトン教授が13歳のエイミーさんに解答していることのうち2番目と3番目に特に異論はない。つまり,課税の本質のひとつは...

給与デジタル払いの意味するものは,銀行業界内部における集中と,電子マネー業者への情報の移動である

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  「 給与デジタル払い21年春解禁、銀行口座介さず 政府方針【イブニングスクープ】」『日本経済新聞』2021年1月27日 。給与をスマホの支払アプリに振り込めるという話。労働法上の問題など(特定のアプリの仕様を会社から強制されないかなど)もあるが,とりあえずこの『日経』記事の論...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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