Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2020年9月25日金曜日

「専門家」と「専門性」と素人の意義について:内田樹氏と岩田健太郎氏の対談に思う

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  内田樹・岩田健太郎「『素人がコロナを語ると専門家が怒る』という日本は明らかにおかしい」MSNニュース,2020年9月23日 を読んで思ったこと。あらかじめ断っておくが,両氏を褒め称えたいのでも貶したいのでもないので,それだけを好む方はお読みにならない方がいい。  私は「専門家...
2020年9月22日火曜日

経団連提言「EdTech推進に向けた新内閣への緊急提言 ~With/Postコロナ時代を切り拓く学びへ~」への所感

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 経団連提言「EdTech推進に向けた新内閣への緊急提言 ~With/Postコロナ時代を切り拓く学びへ~」が述べているのは,要するに公費でICT教育基盤を整備しろという事である。そのこと自体は全く正しいと思う。この文書に書かれている内容については大いに支持したい。  しかし,経...
2020年9月18日金曜日

「経済学入門A」の教科書は再び大谷禎之介『図解 社会経済学』桜井書店,2001年

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 10月より「経済学入門A」=政治経済学入門を開講する。前回,2015年度に担当したときは,教科書をどうするかであれこれ迷ったあげく,7つの理由で大谷禎之介『図解 社会経済学』桜井書店,2001年にしている。今回も同様にこの本で行く。その理由としてとりわけ重要なのは,「図解がある...
2020年9月16日水曜日

「財政赤字になってもいい」は背景に過ぎない。「インフレとバブルを起こさないように失業をなくせ」がMMTのコアである

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  今後,失業の問題が厳しくなると思います。その際,再度MMTの妥当性が問われる事態になると思うので,ここで頭出しとして私の理解を述べておきます。解釈を明示することがポイントなので厳密な表現ではないかもしれませんがご容赦ください。  日本のMMT論者の中には,財政拡張を用途を問わ...
2020年9月13日日曜日

『銀翼のイカロス』の半沢直樹の姿は,作者の本心なのか

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  半沢直樹シリーズ。私は原作は四つとも読んでいて,テレビドラマは現在の第2シリーズしか見ていないのだが,原作を読むと第3弾までと第4弾『銀翼のイカロス』に激しいギャップを感じて仕方がない。  半沢は銀行員としての職務に誠実であって,それゆえに行内の不正・腐敗,職務を曲げた権力抗...
2020年9月7日月曜日

『日経』よ,しっかりしてくれ。女神を探している場合ではない

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 この 「成長の女神 どこへ コロナで消えた「平和と秩序」パクスなき世界(1)」 という記事,特集の幕を切って落とすもので今朝の『日経』本紙1面に載っているのだが,内容がおそろしくちぐはぐだ。  いちばんすごいのは,言葉では「世界経済全体」が歴史的に長期停滞に突入しているかのよう...
2020年9月5日土曜日

塩川伸明『歴史の中のロシア革命とソ連』(有志舎,2020年)が提起した問題

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 塩川伸明『歴史の中のロシア革命とソ連』有志舎,2020年。第1,2部を中心とした読後感です。 ーー  私はロシア史は素人にすぎないが,マルクス学徒の一人としてロシア革命からソ連崩壊に至る経過には,ありがちな程度の関心は持ってきた。塩川氏の研究に最初にどう接したのか正確には思い出...
2020年8月28日金曜日

雇用調整助成金の限界とその「次の一手」について考えなければ

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 雇用調整助成金の特例措置期限が,9月末から12月末に延長される見通し。失業を防止する効果があるのでとりあえずは望ましいのだが,問題はいつまで雇用対策をこの制度に頼れるかだ。  雇用調整助成金は,従業員に休業手当を支払った企業に支給されるものだ。つまりは,不況で操業度を落とさざる...
2020年8月23日日曜日

「日本経済」講義におけるマクロ経済政策論の反省

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 メモ。今回の「日本経済」講義内容で不足していた点の反省。  アベノミクスが,事実上金融緩和一本やりで景気を浮揚させようとして,どこまで効果があり,どこから効果がなかったのかは明確にした。ケインズの流動性選好論と資本の限界効率の不確実性論を用いて,企業が投資をせずに現金・有価証券...
2020年8月21日金曜日

ついに通貨供給量が増え始めたが,アベノミクスが成功したからではない

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 アベノミクスが狙ったメカニズムのうち,もっとも主要なものでありながらもっともうまくいかなかったのが,通貨供給量の増大である。いくら日銀に国債を買い上げてもらっても,市中に通貨が供給されず,日銀当座預金が積まれたままになったのだ。これを金融用語でいうとマネタリーベースは増えたがマ...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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