Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2020年8月28日金曜日

雇用調整助成金の限界とその「次の一手」について考えなければ

›
 雇用調整助成金の特例措置期限が,9月末から12月末に延長される見通し。失業を防止する効果があるのでとりあえずは望ましいのだが,問題はいつまで雇用対策をこの制度に頼れるかだ。  雇用調整助成金は,従業員に休業手当を支払った企業に支給されるものだ。つまりは,不況で操業度を落とさざる...
2020年8月23日日曜日

「日本経済」講義におけるマクロ経済政策論の反省

›
 メモ。今回の「日本経済」講義内容で不足していた点の反省。  アベノミクスが,事実上金融緩和一本やりで景気を浮揚させようとして,どこまで効果があり,どこから効果がなかったのかは明確にした。ケインズの流動性選好論と資本の限界効率の不確実性論を用いて,企業が投資をせずに現金・有価証券...
2020年8月21日金曜日

ついに通貨供給量が増え始めたが,アベノミクスが成功したからではない

›
 アベノミクスが狙ったメカニズムのうち,もっとも主要なものでありながらもっともうまくいかなかったのが,通貨供給量の増大である。いくら日銀に国債を買い上げてもらっても,市中に通貨が供給されず,日銀当座預金が積まれたままになったのだ。これを金融用語でいうとマネタリーベースは増えたがマ...

川端康雄『ジョージ・オーウェルー「人間らしさ」への賛歌』岩波新書,2020年の読後感

›
  川端康雄『ジョージ・オーウェルー「人間らしさ」への賛歌』岩波新書,2020年 の読後感。  私がオーウェルを読みふけったのは大学院生の頃であり,つまりは社会主義というものを単純にではなく,もっと様々な角度から理解しなければならないと思っていた頃である。今は時代と人生が一回りし...

靖国神社への閣僚参拝は「中韓から言われること」だ

›
  靖国神社に参拝した衛藤晟一領土問題担当相が「われわれの国の行事として慰霊を申し上げた。中国や韓国からいわれることではないはずだ」と発言したそうだ( 「衛藤担当相 靖国参拝「中韓からいわれることではない」 記者に反論」『産経新聞』2020年8月15日 )。  何を言っているのだ...

教育基本法第9条2項の規定を教員の解雇を制限する根拠とした奈良地裁判決

›
  田中圭太郎「奈良学園大学、学部再編失敗し教員大量解雇…無効判決で1億円超支払い命令、復職を拒否」Business Journal,2020年8月16日。  ・この報道の通りだとすれば,教育基本法第9条2項の規定を教員の解雇を制限する根拠とした点で重要な判決と思う。 ・ただ,専...
2020年8月13日木曜日

PCR検査を拡充すべき範囲と拡充すべきでない範囲

›
  何だか 報道の様子がおかしい ので(FNN「グッディ!」のこと。FNNプライムオンライン,2020円7月30日。),もう一度思考を整理したい。素人談義をしたくないのだが,それにしてもこの報道は混乱しすぎていると思う。 PCR検査を拡充すべき範囲 *感染が流行している地域でPC...
2020年7月30日木曜日

PCR検査の要諦は「よく索敵して,敵がいそうなところを集中的に打て」「索敵能力のあるやつを育てろ」ではないか

›
素人談義を承知で,「専門家が言いたいことの話の筋はこうなのではないか,マスメディアがやっているPCR検査の議論は,そこから脱線しているのではないか」という推定をする。  専門家が何度も言っているのにメディアが無視していることが二つあると思う。  1)PCR検査は事前確率の高い,不...
2020年7月15日水曜日

中央銀行デジタル通貨(CBDC)再論:口座型は個人預金の準国営化という奇策であり,トークン型が合理的

›
  『日本経済新聞』2020年7月15日付報道 や COINPOST同日付記事 によれば,日本政府は,中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を検討することを「骨太の方針」に盛り込むとのこと。実は今月2日には日本銀行決済機構局から「中銀デジタル通貨が現金同等の機能を持つための技術的...
2020年7月10日金曜日

国債発行はカネのクラウディング・アウトを起こさないが、都債を含む地方債発行は起こし得ることについて

›
 国債発行による中央政府の支出増は,カネのクラウディング・アウト(金利の上昇)を起こさない。このことはMMTの信用貨幣論に即して,以前に論じた( ※ )。他方,地方自治体は通貨発行権を持っていないので,地方債の発行による資金調達は民間資金需要と競合し,カネのクラウディング・アウト...
‹
›
ホーム
ウェブ バージョンを表示

自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
詳細プロフィールを表示
Powered by Blogger.