Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2020年4月17日金曜日

重症者の治療が優先だとしても,感染不安にさいなまれるおおぜいの人も支援して欲しい:日本感染症学会と日本環境感染学会の声明について

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日本感染症学会と日本環境感染学会の声明。4月2日付の声明を前者は4月16日付,後者は15日付の広報で公開している。そしてヤフーニュースで本日17日に流れている。  しかし,ほんとうにこれが16日現在の両学会の方針なのだろうか。非常な不安を持つのでコメントする。 1.現状と...

大恐慌(Great Depressoin)ならぬ大封鎖=グレート・ロックダウン(Great Lockdown):IMF世界経済見通し

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IMF, World Economic Outlook, April 2020 (世界経済見通し 2020年4月)。全文は英語だが, 要約は日本語でも読める 。2020年の日本のGDPが-5.2%,世界の経済成長がマイナス3.0%,世界貿易は-11.0%になるとの予測。大恐慌以来...
2020年4月16日木曜日

日銀がETFで損失を出すとはどういうことか:日銀のETF購入(3)

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(「日銀のETF購入」。承前)これまで,日銀が自ら作り出す預金と日銀券でETF(指数連動型上場投資信託)を購入していることを確認し,このオペレーションは実質的には特定企業の利害に日銀がコミットする財政政策であることを述べてきた。次の問題は,日銀がこのETFで損失を出した場合の負担...

日銀のETF購入は上場企業優遇の財政政策ではないのか:日銀のETF購入(2)

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(「日銀のETF購入」承前)さて,日銀が自ら通貨を作り出して金融商品を購入していることはお分かりいただけたと思う。それでは,ETF(指数連動型上場投資信託)を購入することは,日銀の他のオペレーション,つまり銀行に貸し付けたり国債を購入したりすることとどのように違うのだろうか。日銀...

日本銀行がETFを買うお金はどこから来るか?:日銀のETF購入(1)

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 2019年度もETF(指数連動型上場投資信託)購入は続き,2020年3月20日現在の帳簿価額は29兆3955億円に上っている。これはアベノミクス開始直前の2012年12月20日と比べると実に20倍である。バランスシート全体も,主に大量の国債購入により3.8倍に膨らんでいる。この...
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2020年4月11日土曜日

西浦教授と私たちの行く手を阻む,社会の壁と国家の壁

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  西浦博教授は この記事 で「リスクを説明した上での選択」を強調し,イビデンスに基づく深刻な予測を発表して「みんなに真剣に行動を考えてほしかったんです」という。それは教授が民主主義を前提にしているからだと思う。日本が独裁国家でないならば,そして私たちが,これからもそうでないよう...
2020年4月8日水曜日

日本でもできる外出抑制の強い措置:危険な出勤をさせることを,労働契約法上の安全配慮義務違反として禁止せよ

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日本の法制でもできる,外出抑制のための強い措置はある。 「使用者が労働者に危険な出勤をさせることは,労働契約法上の安全配慮義務違反である」 という行政解釈を,政府が出すことだ。これで出勤する人は減らせる。法解釈として,それほど無茶なことではないと思う。ぜひ政府にやって欲しいし...
2020年4月4日土曜日

クラスター対策班の西浦教授が「クラスター対策」から「社会的隔離」への移行をはっきりと主張。人と人との接触を80%減らせば感染爆発を防げる

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クラスター対策専門家のTwitterが開設されて,西浦教授自ら動画に登場されている。対策がはっきりと2局面に分けられ,新たな対策を行うべき時が来たことが示されている。人と人との接触を80%減らすための社会的隔離だ。 第1段階:クラスター対策。1)接触者を追跡。2)3密を控える...

所得が減少した人に30万円給付策の矛盾:給付は緊急に必要だが,所得はもう数か月してから落ち込むおそれがある

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この現金給付策が報じられている通りの内容ならば,不公平感を招くので根本的に改善した方がいい。  現金給付の良いところは,様々な事情で困難に陥っている人々を,事情の細かなところ,つまり生活がいつ,どうして苦しくなったかを問わずに一律にすべての個人を救済できるところだ。この政策は...
2020年4月2日木曜日

足りないのは本当にPCR検査能力なのか。クラスター追跡能力ではないのか

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 4月2日付『日本経済新聞』紙の1面。 「コロナ検査、世界に後れ 1日2000件弱で独の17分の1」 と題して,日本のPCR検査数が少ないことを問題にしている。  だが,本当に足りないのはPCR検査とその能力なのか。  日本のPCR検査数が少ないことについて,これまでは専...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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