Ka-Bataブログ

川端望のブログです。経済,経営,社会全般についてのノートを発信します。専攻は産業発展論。研究対象はアジアの鉄鋼業を中心としています。学部向け講義は日本経済を担当。唐突に,特撮映画・ドラマやアニメについて書くこともあります。

2019年1月31日木曜日

24年前の論文を引用いただいた:Nishio, S. & Fujimura, S. (2017) Influence of Traditional Business Practice on Firm Boundaries – Evidence from the Japanese Automotive and Steel Industries

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 日本の長期相対取引における「パフォーマンス・ギャランティ」という品質保証方式について考察した論文。この論文の筆頭著者西尾精一氏は,藤村修三教授の研究室に所属する大学院生で,鉄鋼メーカーに長く勤めてリタイヤされた方のようだ。清晌一郎教授の名作「曖昧な発注,無限の要求による品質・技...
2019年1月30日水曜日

毎月勤労統計調査の不正に関する監察委員会報告書を読む(5)2004年調査よりも前から不正が始まっていた

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 この連載の核心というか,私のブログにしか書いていないオリジナルなところは 前回の(4) ,つまり復元を開始した際に行われた隠蔽の疑いにあった(ので (4) をお読みいただけるとありがたいです)。よって,この話で連載は打ち止めにしようと考えていた。しかし,田中重人氏と池田信夫氏の...
2019年1月29日火曜日

毎月勤労統計調査の不正に関する監察委員会報告書を読む(4)未復元の事実,復元を開始した事実を隠蔽したのではないか

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 毎月勤労統計調査の不正問題。前回の(3)では2004年調査で不正がなぜ行われ,誰が指示したのかという問題を取り上げた。今回は,復元に関わって,隠蔽やそれに類する行為がなかったかどうかを考えたい。  不正の二つの主要内容である1)全数調査を行うべきところ抽出調査を行って,それ...
2019年1月28日月曜日

毎月勤労統計調査の不正に関する監察委員会報告書を読む(3)誰が不正を指示したのか

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 毎月勤労統計調査の不正の主要な内容は,1)2004年(小泉内閣当時)以後,本来規模500人以上の事業所について全数調査を行うべきところ,東京都(石原都知事当時)について,総務省に届けることなく抽出調査を行ったこと,およびその事実を公表せずに偽っていたこと,2)抽出調査に伴って必...
2019年1月27日日曜日

毎月勤労統計調査の不正に関する監察委員会報告書を読む(2)中立性の問題

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毎月勤労統計の不正調査に関する特別監察委員会報告書について,たたき台を厚労省職員が書いたことに加え,厚労省幹部らへの聞き取り調査に現役の幹部職員が同席していたと報道されている。  これは,監察委員会の設置の仕方と調査方法自体に問題があるのだと私は思う。報告書の4ページに堂々と...
2019年1月26日土曜日

毎月勤労統計調査の不正に関する監察委員会報告書を読む(1)不作為の問題

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 話題の,毎月勤労統計調査の不正に関する監察委員会報告書を読んだ。問題にすべき事実は多岐にわたり,率直に言って評価も容易ではないので,考えがまとまったところからコメントしていきたい。  まず,いま問題になっている「組織的隠蔽はあったのか」という論点。野党や報道機関,世論によっ...
2019年1月21日月曜日

学部ゼミテキストはリチャード・ボールドウィン『世界経済 大いなる収斂』

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先日,ジュンク堂書店をうろうろして学部ゼミの教科書を選んだ。これがよさそうだ。産業論かつ世界経済論になっているところが当ゼミになじむ。つまり,新技術が経済組織を変えていく論理に貫かれているところと,世界的な資源配分と比較優位と国際分業によって各国の産業構造が決まるとされているとこ...
2019年1月18日金曜日

ラブロフ外相の「なぜ日本は、第2次世界大戦の結果を全面的に受け入られない世界で唯一の国なのか」発言について

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 ラブロフ外相の 「なぜ日本は、第2次世界大戦の結果を全面的に受け入られない世界で唯一の国なのか」発言 。  それは第2次世界大戦において旧ソ連が行ったことが不当だからである。  確かに第二次大戦の結果,アジアにおける大日本帝国の植民地支配は断罪された。それはもっともだ。...
2019年1月16日水曜日

択捉と国後は南クーリル(千島)だが,歯舞と色丹は南クーリル(千島)ではない:ラブロフ外相の発言について

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 1月14日のロシアのラブロフ外相発言について。私の意見では,「択捉と国後は南クーリル(千島)だ」というのはロシア政府が歴史的に妥当で,日本政府の主張に無理がある(以下,「政府」を略)。しかし「歯舞と色丹も南クーリル(千島)だ」というのはロシアの主張に妥当性はなく,日本の方が正し...
2019年1月13日日曜日

Facebookに反政府的投稿のブロックを求めるベトナム政府

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 サイバーセキュリティ法がきっかけとなって,ベトナムが中国のようなネット統制,端的には自国のネットを世界から孤立化させる政策をとりそうな気配が表れている。そのような政策は,ベトナムの経済・社会の首を絞めるに等しい。   中国には,ネット孤立化という措置ををしたくなる衝動に政府が...
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自己紹介

川端望 (Nozomu Kawabata)
東北大学大学院経済学研究科教授をしております。本ブログで表明している見解は,すべて私個人のものであり,所属機関の見解ではありません。
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