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2019年6月13日木曜日

外国人留学生が卒業後に起業することは促進すべきだが,在学中の起業は認めるべきではない理由

 外国人留学生による起業を促すため,大学に在学しながらの在留資格切り替えを認めることが検討されているという時事通信の報道があった。

<卒業後の起業促進は賛成>

 私は,外国人留学生が卒業後に起業することを促すのは賛成だ。日本経済の活性化に大いにプラスになるからだ。そして,起業する(「経営・管理」ビザを取得する)のに,卒業・退学後,いったん帰国しなければならないというのは,確かに理不尽だ。しかし,この問題については,すでに今年初めから,起業を準備する卒業生には「特定活動」の在留資格を与えて滞在延長を認め,その間に起業準備をするという規制緩和が実施されていると報道されている。これで十分だと思う。不十分なら,滞在延長期間を延長すればいい。


<在学中の在留資格切り替えは反対>

 時事通信の報道が正確だと仮定してのことだが,在学中に在留資格切り替えを認めるという今回の案は,賛成できない。在学中に資格を切り替えて起業することを初めから念頭に置いて留学して来る留学生と,そうした留学生を数多く受け入れて定員を満たし授業料収入を上げようとする日本の一部の大学の双方にモラル・ハザードを起こすと思う。片や真剣に授業を受けず,片や教育の中身を充実させようとしない結果,大学教育が劣化するおそれがある。政府は,東京福祉大学事件をもう忘れたのか。

 ちなみに,いったん日本の学部を卒業した前期課程学生,日本の前期課程を修了した後期課程学生であれば,いまでも在学中の資格切り替えは可能だと思う。すでに一度,日本で大学を卒業しているからである。少なくとも私の周囲を見ると,「経営・管理」の例には接したことがないが,「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門家」への切り替えはできているように見える。それはそれでもっともなことだろう。

「外国人留学生の起業促進=在留資格切り替え可能に-特区諮問会議」時事ドットコムニュース,2019年6月11日。


「留学経験生かし起業の外国人支援…滞在1年延長」読売新聞オンライン,2019年1月19日。

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